1999 Fiscal Year Annual Research Report
家族性大腸腺腫症患者における腺腫の発生機序とCOX-2の発現並びに作用機序の検討
Project/Area Number |
11671212
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
豊岡 正裕 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (90197963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 雅之 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (60301165)
吉永 圭吾 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (80240745)
杉原 健一 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (10171167)
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Keywords | 家族性大腸腺腫症 / 十二指腸乳頭部腺腫 / 十二指腸乳頭部癌 / proliferating cell nuclear antigen / cyclooxygenase-2 |
Research Abstract |
家族性大腸腺腫症(FAP)は大腸に100個以上の腺腫を発生させ,60歳までにほぼ全例に大腸癌が発生する常染色体優性遺伝性疾患である.この疾患に対して大腸癌発生以前に数種類の予防的大腸切除術が広く行われており,大腸癌による死亡率は低下し,それら手術の効果が認められてきた.一方,上部消化管にも腺腫性ポリープが随伴することが知られ,予防的大腸切除術後の上部消化管悪性腫瘍の発生が大きな問題として注目されるようになってきた.上部消化管の中でも十二指腸乳頭部には一般集団の250〜300倍の危険率で癌が発生することが知られるようになり,このような病変に対する早期発見,早期治療が重要となっている.そこで外来でFAP患者40名に対してsurveillance gastroduodenoscopyを行い,十二指腸乳頭部病変の内視鏡分類を確立し,それら分類が細胞増殖の指標の一つであるproliferating cell nuclear anigen(PCNA)と相関するかどうかを検討した.内視鏡所見は正常,表層型腫瘍,隆起型腫瘍,癌の4型に分類することができた.PCNA-labelling index(LI)の中央値は正常,表層型腫瘍,隆起型腫瘍,癌でそれぞれ,34.0(29-35),37.1(34-43),41.5(36-49),60.6(24-97)であった.また,病理組織学的所見でのPCNA-LIは,異常なし,低・中等度異型腺腫,高異型度腺腫,癌でそれぞれ33.6(29-35),37.1(34-41),53.0(44-57)であった.内視鏡所見分類の癌群および組織学的分類の高異型度腺腫・癌群では有意に他群よりPCNA-LIが高値であった.これらの結果より,PCNA-LIは生物学的マーカーとして有用であることが示唆された.
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