2000 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるDPC4,MADR2遺伝子の異常と浸潤転移
Project/Area Number |
11671220
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Research Institution | Fukui Medical University |
Principal Investigator |
五井 孝憲 福井医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (60225638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 明夫 福井医科大学, 医科部, 教授 (10174608)
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Keywords | DPC4 / MADR2 / colorectal cancer / liver metastasis |
Research Abstract |
TGF-βスーパーファミリーは細胞の増殖、分化に関わる重要な細胞内シグナル伝達分子の1つであり、その制御機構の破綻は様々な組織における腫瘍発生に関与することが注目されている。本研究ではTGF-βスーパーファミリー因子群の細胞伝達分子であるDPC4とMADR2遺伝子について、遺伝子異常および蛋白量の変化を大腸癌において検索し、発癌、浸潤および転移との関係を検討した。遺伝子異常についてRT-PCR,SSCPおよびDNA sequencingにて検討したところ、大腸癌29例中5例にDPC4遺伝子のpoint mutation、1例にframe shiftが確認され、またMADR2遺伝子では3例にpoint mutationが確認された。さらに両遺伝子が位置する染色体18q21のLOH検索をMicrosatellite法にておこなったところDPC4遺伝子異常の認められた症例はすべてLOHが確認された。つぎにDPC4蛋白質に対するモノクローナル抗体を作成し、切除手術を施行した大腸癌症例64例から原発巣および正常組織の蛋白を抽出し、Western blot法にてDPC4蛋白質の発現量を検討した。 大腸癌組織におけるDPC4蛋白の発現量は、大腸正常粘膜と比較して有意に減少していることが認められた。(p<0.0001)またDPC4蛋白量比(癌組織DPC4蛋白量/正常粘膜DPC4蛋白量)と臨床病理学的所見との検討では、肝転移陰性症例でのDPC4蛋白平均発現量比は0.347、肝転移陽性症例では0.202と肝転移陽性症例におけるDPC4蛋白量比の減少が認められた。(p<0.0021) DPC4遺伝子変異/欠損とDPC4蛋白発現量比の検討では遺伝子異常の認められた症例においてDPC4蛋白発現量比の減少は高度であった。 以上よりDPC4分子は大腸癌において発癌に関与するだけではなく、血行性転移にも関与することが示唆された。
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