1999 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌に対する経口血管新生阻害物質による抗腫瘍効果の検討
Project/Area Number |
11671225
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 達郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90273185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00138033)
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Keywords | 血管新生阻害 / MMP阻害剤 / 大腸癌肝転移 / ヒト大腸癌TK4 / 大腸癌同所移植モデル |
Research Abstract |
1.材料と方法 ヒト大腸癌TK4をヌードマウス盲腸に同所移植し、移植4日後より治療群にはmatrix metalloproteinases(MMP)阻害剤であるMMI-116:200mg/kg/0.2mlを、対照群には生食水0.2mlを各々連日経口投与した。腫瘍移植42日後にマウスを犠牲せしめ、移植腫瘍重量、肝転移、体重、腹壁創に関して評価した。 2.結果 (1)腫瘍重量は対照群0.793±0.355g、治療群0.743±0.352gと両者間に有意差を認めなかった。(2)肝転移は対照群80%(12/15匹)、治療群20%(2/10匹)とMMI-166による有意な肝転移抑制効果(p<0.001)を認めた。(3)体重は対照群22.5±0.9g、治療群21.7±1.7gと両者間に有意差を認めなかった。(4)ゼラチンザイモグラフィーにて、対照群に比し治療群においてMMP-2の発現が抑制されていた。腫瘍内微小血管密度(MVD)の比較では、対照群に比し治療群でMVDの有意な減少(p<0.05)を認めた。(5)手術時の開腹創の創傷治癒に関しては両者間に相違を認めなかった。 3.結語 (1)経口MMP阻害剤MMI-166は移植腫瘍の増殖抑制効果は認められなかったが、有意な肝転移抑制効果を認めた。その作用機序としては、ゼラチンザイモグラフィーの結果からヌードマウス中においても腫瘍血管新生に関与するMMP-2を抑制し、MVDの減少を認めたことより腫瘍血管新生を阻害したことが推察される。(2)フマジリン系の血管新生阻害剤で問題となる体重減少を認めず、創傷治癒にも影響を与えなかったように、MMI-166は重篤な副作用を一切認めなかった。(3)今回の実験結果より、MMI-166は優れた大腸癌肝転移阻止能力を示し、副作用の軽微な血管新生阻害剤となりえる事が示唆された。
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