1999 Fiscal Year Annual Research Report
Cyclooxygenase 2阻害剤の消化器癌の転移抑制効果についての検討
Project/Area Number |
11671226
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 助教授 (00138033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 達郎 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90273185)
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Keywords | 大腸癌 / 肝転移 / COX-1 / COX-2 / VEGF |
Research Abstract |
本年度は大腸癌の肝転移におけるCyclooxygenase-2の役割を明らかにすることを目的として実験をおこなった。ヌードマウス可移植性ヒト大腸癌株TK-4をBALB/cnu/nuヌードマウスの皮下、腹膜、盲腸に移植し、Cyclooxygenase-1,2(COX-1,2),vascular endothelial growth factor(VEGF)の発現と腫瘍成長速度および肝転移能との関連を検討した。各移植8週後、マウスを犠牲死せしめ各移植部位別に評価した。腫瘍成長速度は皮下、腹膜、盲腸の順であったが、肝転移は盲腸移植の群のみに認められた(個体数の80%に肝転移)。Northern Blottingを用いつたCOX-1,COX-2,VEGFのmRNAの発現をβーアクチンに対する発現レベルで定量化し検討した。COX-1mRNAは部位による差は無かった。COX-2mRNAは正常大腸組織ではほとんど発現を認めず、盲腸で1.454,腹膜0.229,皮下0.238で盲腸移植腫瘍で有意に高く発現していた。VEGFmRNAは皮下で最も高発現しており、以下腹膜、盲腸の順であったが推計学的有意差はなかった。免疫組織染色による蛋白発現の検討では、COX-2蛋白はmRNAと同様に、盲腸移植腫瘍で高発現しており、皮下移植腫瘍では低発現であった。また盲腸移植腫瘍では腫瘍部と共に腫瘍近接癌組織においてもCOX-2蛋白の高発現が認められた。これらの結果から大腸癌肝転移において宿主のCOX-2発現が重要な役割を担っていることが示唆された。
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