2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671233
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
竹山 宜典 神戸大学, 医学部, 講師 (70263374)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 裕一 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 重症急性膵炎 / 感染 / 細胞性免疫 / リンパ球 / アポトーシス / 胸腺 / 脾臓 |
Research Abstract |
本研究では,重症急性膵炎における免疫担当細胞の数的・質的変化とその分子機構を解明する事を目的とし,臨床例や実験モデルの免疫担当細胞を解析した. 本年度は,特にリンパ球の機能に注目して解析を進めた.臨床例の検討では,重症膵炎全体としてはリンパ球幼弱化反応とNK細胞活性の低下が認められ、さらに感染合併例では非合併例と比して有意な末梢血リンパ球(特にCD8陽性細胞)減少および血清IgG値の低下とLAK活性の低下が明らかとなった。また末梢血リンパ球減少の機序としてアポトーシスの誘導が確認された。実験的にはラット膵炎モデルにおいてリンパ系組織の経時的変化とアポトーシス誘導を解析した。膵炎誘導後6時間でアポトーシスによる胸腺萎縮、末梢リンパ球(特にCD8陽性細胞)減少とそのアポトーシスが観察された。12時間後には脾臓の萎縮と脾細胞の減少が認められたがアポトーシスは観察されなかった。さらに24時間後の脾臓から脾細胞を分離培養し、T細胞刺激下の細胞増殖能およびサイトカイン産生能を検討すると、膵炎ラットの脾細胞では増殖能は有意に低下し、サイトカイン産生能はTh1系およびTh2系両者とも有意に抑制されていた。 無菌的に発症する急性膵炎から感染が成立し重篤化する機構は未だ明らかにされていないが,重症急性膵炎では末梢リンパ球減少を介して生体防御機構が障害されていることが示唆されてきた.本助成に基づいた我々の研究によって,重症急性膵炎時に免疫担当細胞に広範にアポトーシスが誘導されていること,さらにリンパ球の変化が量的変化に留まらず,高度の質的変化をも伴っていることが判明した.重症急性膵炎の病態を全身の免疫担当細胞障害による感染防御能低下として捉えるべき根拠となる結果が得られ,本疾患における感染防御対策を講ずる上での重要な知見となった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takeyama Y. et al.: "Peripheral lymphocyte reduction in severe acute pancreatitis is caused by apoptotic cell death."J Gastrointest Surg. 4(4). 379-8 (2000)
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[Publications] Hori Y. et al.: "Macrophage-derived transforming growth factor-β1 induces hepatocellular injury via apoptosis in rat severe acute pancreatitis."Surgery. 127(6). 641-9 (2000)
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[Publications] Takeyama Y. et al.: "Apoptotic cell death of hepatocytes in rat experimental severe acute pancreatitis."Surgery. 127(1). 55-64 (2000)
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[Publications] Ueda T. et al.: "Hepatocyte growth factor increases in injured organs and functions as an organotrophic factor in rats with experimental acute pancreatitis."Pancreas. 20(1). 84-93 (2000)