1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的手法による胃癌の腹腔内遊離癌細胞同定に関する研究
Project/Area Number |
11671236
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
廣岡 保明 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助手 (40243399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻谷 俊一 鳥取大学, 医学部・附属病院, 講師 (30188544)
池口 正英 鳥取大学, 医学部, 講師 (20193188)
|
Keywords | 胃癌 / 術中腹腔内洗浄細胞診 / Papanicolaou染色 / MOC-31抗体 / CEAmRNA / テロメラーゼ活性 |
Research Abstract |
1.MOC-31抗体による免疫染色を用いた胃癌術中腹腔内遊離癌細胞の同定:胃癌46例の腹腔内洗浄液検体より得られたPapanicolaou(Pap.)染色による細胞診結果とMOC-31抗体の免染結果は43例(陽性5例,陰性38例)で一致した。一致しなかった3例の見直しおよび他の免染(CEA,BerEP4抗体)結果より,3例中2例は細胞診で中皮細胞を癌細胞と読みすぎており(誤陽性),3例中1例は細胞診で癌細胞が極少数しかなかったため見落としていた。MOC31染色の正診率(100%)は,Pap.染色(93.5%)および同時に施行したCEAやBerEP4による免染(それぞれ97.8%,95.7%)よりも良好であったことより,MOC-31抗体を用いた腹腔内洗浄液の免染は,細胞診の最も信頼できる補助診断となりうることが示唆された。 2.CEAmRNA測定による胃癌術中腹腔内遊離癌細胞の同定:胃癌30例において腹腔内洗浄液中のCEAmRNAを測定し、MOC31染色結果と比較したところ,4例(MOC陽性の1例でCEAmRNA陰性,MOC陰性の3例でCEAmRNA陽性)で一致しなかった。以上よりCEAmRNA検出は細胞診や免染に比べより鋭敏な遊離癌細胞同定法と示唆されたが,1例において細胞診で明らかな癌細胞が出現しているにもかかわらずCEAmRNAが陰性であったことより,誤陰性の可能性もあることを考慮する必要があると思われた。 3.テロメラーゼ測定による胃癌術中腹腔内遊離癌細胞の同定:胃癌41例において腹腔内洗浄液中のテロメラーゼ活性を測定し,MOC31染色結果と比較したところ15例で一致しなかった。早期胃癌の4例中3例(細胞診およびMOC31染色はいずれも陰性)でもテロメラーゼ陽性であったことより,信頼性において再検討中である。
|