2000 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるオーロラ遺伝子異常およびオーロラを標的とした治療法の可能性の検討
Project/Area Number |
11671266
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山田 行重 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50254496)
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Keywords | オーロラ遺伝子 / 消化器癌 |
Research Abstract |
平成12年度は、昨年と同様細胞株、及び胃癌摘出標本におけるaurora2遺伝子増幅及び発現をさらに症例数を増やして検討した。またその発現と臨床病理学的因子との関係についても検討した。Southern法により胃癌細胞株において、7株中2例(29%)にauora2遺伝子の増幅を認めた。増幅の程度はMKN45が2.7倍、KATOIIIが3.7倍のであった。Northern法によるaurora2遺伝子過剰発現は、9例中3例(33%)に認めた。過剰発現を認めた細胞株はKKLS,TMK1,AGSであり、DNAレベルで増幅を認めた2株ではいずれも過剰発現を認めなかった。臨床検体は原発性胃癌切除例88症例を対象とし、その癌部、非癌部よりRNAを抽出し細胞株と同様にNorthern法によりauroa2遺伝子発現を検討した。88例中36例(41%)に過剰発現を認めた。臨床病理学的因子との検討では、auora2遺伝子発現は分化型胃癌、及び高齢者でその発現頻度が高く、統計学的にも有意差(P=0.025、P=0.047)を認めた。他の臨床病理学的因子との間には有意な関係は認めなかった。Southern法による遺伝子の増幅は24例中4例(16.7%)に認めるのみであった。これまでauroa2遺伝子の過剰発現の原因は遺伝子の増幅によるものと考えられてきたが、胃癌に関しては遺伝子増幅の頻度は高くなく、遺伝子増幅と過剰発現の間には相関は認めなかった。今回新たに、Aurora2遺伝子発現と分化型胃癌との関連性が示唆された。
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