1999 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌患者における血中IL-2R値とIL-2R/Tac抗原の免疫組織染色
Project/Area Number |
11671269
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
村上 三郎 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (00240987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 廉三 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10014317)
辻 美隆 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40227400)
坂田 秀人 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (10255101)
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Keywords | 胃癌 / IL-2R / Tac抗原 / サイトカイン |
Research Abstract |
腫瘍部位において活性化されたTリンパ球によりInterleukin-2(IL-2)が産生されるが、このIL-2が特異的膜レセプターと結合し、その一部が可溶性Interleukin-2 Receptor(sIL-2R)として循環血液中に漏出してくる。我々は、消化器癌患者のリンパ節転移の予知にsIL-2R値が有用であることを報告してきたが、今回、早期胃癌患者における血中sIL-2R値の測定を行い、主としてリンパ節転移の有無との関係について検討した。対象は、早期胃癌症例68例(男性51例、女性17例;m癌36例、sm癌32例)である。血中sIL-2R値測定にはELISA(Enzyme-linked immunosorbent Assay)法によるセルフリーIL-2R測定キット(山之内製薬)を使用し、推計にはFisher's exact testを用いた。sm癌の6症例にリンパ節転移を認めた(19.2%)。肉眼型ではIIc+UI(+)が4例、IIc+IIa、IIc+IIbが各1例ずつであった。これら6例のうち5例で血中sIL-2R値陽性で(sensitivity:83.3%)、リンパ節転移陰性症例62例中、40例で血中sIL-2R値が陰性であった(specificity:64.5%)。 早期胃癌患者において、術前にリンパ節転移有無を判定することは、治療法の選択に関わる極めて重要な問題である。現在、腫瘍の形状、大きさ、画像所見などに依存して予測しているが、所属リンパ節を形造る細胞の85%がTリンパ球であることを考慮するとき、転移リンパ節内において、癌細胞の刺激を受けて形成される可溶性IL-2Rが多量に血中に放出されるものと推測される。この観点にたつと、血中sIL-2R値にはリンパ節転移の有無が反映されている可能性が高い。
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