2002 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌患者における血中IL-2R値とIL-2R/Tac抗原の免疫組織染色
Project/Area Number |
11671269
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
村上 三郎 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (00240987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 廉三 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (10014317)
辻 美隆 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (40227400)
坂田 秀人 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (10255101)
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Keywords | 胃癌 / IL-2R / Tac抗原 / サイトカイン / 大腸癌 / 腸管免疫 |
Research Abstract |
腫瘍部位において活性化されたT-lymphocyteによりInterleukin-2(IL-2)が産生されるがこのIL-2が特果的膜レセプターと結合し、その一部が可溶性Interleukin-2Receptor(sIL-2R)として循環血液中に濡出してくる。我々は、胃癌患者のリンパ節転移の予知にsIL-2R値が有用であることを報告してきた。さらに、19例については手術時に切除された標本の一部をOCTcompoundで凍結保存し、後日薄切切片を作製した。これらに対して、IL-2R/Tac抗原に対する抗体(monoclonal mouse anti-human IL-2R, Dako社)を用いて免疫組織染色を行った。胃癌19例中13例(68.4%)で、癌組織の間質中にIL-2R/Tac抗原陽性細胞が確認された。さらに、転移リンパ節においても同様の所見が得られた。一方、正常胃組織の間質や非転移性リンパ節ではこのようなIL-2R/Tac抗原陽性細胞を認めなかった。この事は、リンパ節転移陽性胃癌症例で血中sIL-2R値が高値を示す根拠を示すものと判断される。一方、粘膜上皮細胞に関しては、癌部の上皮細胞ではIL-2R抗体で全く染色されなかったのに対し、正常粘膜の上皮細胞ではほとんどの症例でIL-2R抗体によって染色される細胞を認めた。さらに、正常粘膜組織では腺管腔内にもIL-2R抗体によって染色される分泌物を認めた。以上の結果より、癌組織の間質にIL-2R陽性細胞が認められたことから、胃癌におけるtumor infiltrating lymphocytes(TIL)の存在が確認された。一方、正常粘膜の上皮細胞ではIL-2R抗体によって染色される細胞を認めており、上皮細胞間リンパ球でIL-2が産生されている可能性がある。また、正常粘膜組織で腺管腔内にIL-2R抗体によって染色される分泌物を認めていることから、胃粘液分泌物中でも細胞性免疫が何らかの型で関与している可能性が示唆された。一方、胃癌の上皮細胞はIL-2R抗体で全く染色されなかったことより、癌部における上皮細胞の細胞性免疫は破綻しているのではないかと思われる。さらに、大腸癌症例155例の血中IL-2R値を測定し、その臨床病理学的因子との関連性について検討したが、胃癌の場合と同様にリンパ節転移陽性の大腸癌症例の血中sIL-2R値が高値を示すことが確認された。さらに大腸癌16例については、癌組織部と正常大腸組織に対して、胃癌で行ったのと同様なIL-2R/Tac抗原の免疫組織染色を行った。その結果においても、胃癌および胃正常組織の場合と同様な所見がえられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sakata H, Murakami S, Hirayama R: "Serum soluble IL-2R and immunohistochemical staining of IL-2R/Tac antigen in colorectal cancer"International Journal of Clinical Oncology. 7・5. 312-317 (2002)