1999 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌に対するヒト生理活性物質からなる新しい遺伝子組換え血管新生阻害剤の開発
Project/Area Number |
11671272
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小澤 壯治 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10169287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 克明 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40286505)
川久保 博文 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20286496)
|
Keywords | 食道癌 / VEGF / RNase / 血管新生 / FGF |
Research Abstract |
ヒトVEGFのかわりにヒトFGF-RNase fused proteinがまず作成できたため、これを用いた同様の実験を施行した。 研究1:新鮮ヒト臍帯動脈切片を培養した実験系を用いて,RNase-FGFfused proteinが臍帯動脈由来の増殖因子により導かれた血管新生を阻害するかを検討した。in vitro血管新生評価法として新鮮ヒト臍帯動脈切片培養法を用いた。新生血管の評価は位相差顕微鏡下に撮影した臍帯動脈断端を含む画像をNIH Imageを用いて解析し,新生血管指数を算出して行った。RNase-FGFfused protein無添加wellにおいて新生血管は臍帯動脈断端から成長した。これは臍帯動脈由来(内因性)の増殖因子または外因性へパリン結合性増殖因子以外の増殖因子に依存していると推測された。RNase-FGFfused proteinを0〜300μg/0.5ml/well添加の条件で臍帯動脈を培養すると新生血管指数はそれぞれ3.20〜0.31となり,濃度依存的に血管新生抑制効果が認められた。一方,同濃度のRNase単独添加群では抑制効果は認められなかった。以上よりこの抑制結果は血管内皮上のFGF受容体を介する効果であると考えられた。また臍帯動脈は培養期間中に形態学的な変化を示さず,この濃度範囲での毒性は認められなかった。 研究2:ウサギ角膜法を用いて,FGF(外因性)により誘導された血管新生をRNase-FGFfused proteinが阻害するかを検討した。ウサギ角膜法ではFGF2μgにより安定した新生血管を誘導することが可能となった。RNase-FGFfused protein32.3μg含有メチルセルロースディスク移植角膜において,完全な血管新生抑制効果をみた。しかし角膜炎の併発や,移植検体濃度の不安定などより濃度依存性血管新生抑制効果を認めるには至っていない。
|