2000 Fiscal Year Annual Research Report
幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後早期における経腸栄養と経静脈栄養の臨床比較試験
Project/Area Number |
11671275
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高田 忠敬 帝京大学, 医学部, 教授 (80075340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 秀喜 帝京大学, 医学部, 助教授 (20101850)
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Keywords | 膵頭十二指腸切除術 / 術後栄養管理 / 経腸栄養 / 経静脈栄養 / サイトカイン / 臨床比較試験 / 膵切除術 / 術後合併症 |
Research Abstract |
幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD)の術後早期の栄養管理としては経静脈栄養(TPN)と経腸栄養(ED)のどちらが優れているか臨床比較試験を行った.【対象と方法】PPPD直後に封筒法にて術後の栄養管理方法をED群(10例)又はTPN群(10例)かを決めた.ED群と決まった場合,再建時に挙上空腸の盲端から8Fr.の経腸栄養チューブを挙上空腸内に挿入した.TPN群と決まった場合,閉腹直後に鎖骨下静脈からIVHカテーテルを挿入留置した.ED群では,術後1日目お茶50ml×2回,2日目消化態栄養剤200ml(1kcal/ml),3日目400ml,4日目600ml,5日目800ml,6日目1200ml,7日目1600mlを投与し,8日目以降は経口食を併用した.TPN群の場合もED群と同様にカロリーアップさせた.ED群とTPN群における合併症発生頻度,サイトカインの変動などを比較してPPPD術後早期の栄養管理としてどちらが望ましいかを検討した.【成績】(1)合併症:ED群では,術後合併症を2例(リンパ瘻1例,膵腸吻合部miner leakage 1例)認めた.TPN群では3例(肺炎1例,膵腸吻合部miner leakage 1例,IVHカテーテル感染1例)の合併症を認めた.ED群とTPN群では合併症発生頻度における有為差を認めなかった.(2)サイトカイン(血中IL-6)変動:ED群の平均値は,術前5.2(pg/ml),術後1日目34.9,術後8日目49.4,術後15日目34.2,術後22日目23.7と推移した.一方,TPN群の平均値は,術前5.4(pg/ml),術後1日目67.1,術後8日目80.1,術後15日目84.2,術後22日目15.6と推移した.TPN群ではED群と比較して有意(P<0.05)に高値を示した.【まとめ】PPPD術後早期における栄養管理としては,術後合併症やサイトカインの変動からみて経腸栄養が経静脈栄養より優れていると結論された.
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