2000 Fiscal Year Annual Research Report
骨盤底筋群運動異常の病態解明と細菌毒・刺激電極を用いた治療法の確立
Project/Area Number |
11671280
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高尾 良彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50206710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 哲也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (10256373)
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Keywords | 骨盤底筋群 / 排便機能異常 / 精製ボツリヌス菌毒 |
Research Abstract |
平成12年度研究成果 全身麻酔下に雑種成犬5頭を用いて,精製ボツリヌス菌毒500pg/kgを尾筋に局所注入投与し,投与前後における尾筋の生検組織,直腸肛門内圧および筋電図測定を比較検討した.投与前後での生検では組織学的な変化を認めなかったが,内圧は50-80%下がり,全身麻酔覚醒後も6時間から24時間の便失禁があった.しかし同じ個体への複数回投与において,内圧下降程度に差があるのみならず,全く効果が認められない場合があり,その効果発現に未知の要因が関与する可能性が疑われた.筋電図では,散発的な基礎収縮波の低下が認められたものの,複数回投与で筋電図波形が異なり,再現性が認められなかった.精製ボツリヌス菌毒局所投与が全身状態へ及ぼす影響は,心電図,完結的動脈圧測定,直腸内体温測定および前肢の電気刺激に対する筋収縮反応を観察したが,投与前後で変化を認めず,精製ボツリヌス菌毒500pg/kg量は全身的には影響しないと判断した. 平成11年度に試作した排便機能造影専用便座に可変式放射線透過度調整装置を装着し,現時点で70例の録画が集積されている.この検査における骨盤底筋群運動異常の所見を直腸肛門内圧測定および筋電図評価と比較した場合,一部において便意発現閾値および直腸最大耐用量と関係があるものの,独立した骨盤底筋群の動態指標と考えられた.また臨床症状との相関性が確認でき,外科的治療の適応判断に有用なため,すでに臨床応用を開始した.初回検査で手術適応外と判断した6例および保存的治療を希望した1例に対してバイオフィードバック治療を行い,内4例は改善したために外科的治療が行われた.したがって,現状では臨床的な骨盤底筋群電気刺激治療の候補者は3名となった.しかし当初,本研究計画時に使用を予定していた人体内に使用可能な刺激電極が製造販売中止となり,現在代用できる電気刺激装置を検討している.
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