2002 Fiscal Year Annual Research Report
骨盤底筋群運動異常の病態解明と細菌毒・刺激電極を用いた治療法の確立
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11671280
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高尾 良彦 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (50206710)
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Keywords | 骨盤底筋群 / 精製ボツリヌス菌毒 / 排便機能異常 / 仙骨神経電気刺激 / 排便機能検査 |
Research Abstract |
平成12年度から平成13年度に行った雑種成犬尾筋への精製ボツリヌス菌毒局所注入実験を延長し,A型ボツリヌス菌毒(製品名:ボトックス)を尾筋の近位,および遠位に各50単位を2点注入して液状および粘性バリウムを用いた排便機能造影を行った.筋弛緩は得られるものの,同一固体においても筋弛緩による直腸S状結腸の形態および肛門内圧の変化は毎回異なる結果となって再現性が得られなかった.そこで肛門括約筋弛緩モデルを細菌毒から陰部神経分枝の尾側直腸神経をクリップで圧搾する,神経障害モデルに変更して再現性のある肛門括約筋弛緩状態を得ることが出来た.この神経障害モデル犬を用いて,仙骨神経根部および坐骨直腸窩に電極を刺入して中枢側神経を刺激して肛門内圧を測定し,その治療の有効性を確認すると同時に,排便機能造影を行って液状および粘性バリウムが直腸内に保持できること,ネオスチグミン投与によって持続刺激中のバリウム排泄が可能であることが確認できた.また同時に,刺激電圧,振幅および周波数を変更して肛門管内圧の上昇が確認できる括約筋の持続的収縮をきたす刺激閾値変化の時間的変化についても検討した.刺激電圧および周波数は徐々に増加するものの,持続的に肛門管内圧を保てることが確認され,電気的刺激を用いた肛門治療の臨床応用への可能性が確認できた. 平成12年度に試行した排便機能造影は,可変式放射線透過度調整装置に散乱線除去板を角度可変式として装着することで透過度調整が行えるようになった.この排便機能動態撮影自体はすでに臨床的使用を開始し,骨盤底筋群運動異常の患者では,バイオフィードバック治療の適応,および効果判定に有用であることが確認できた.
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