2000 Fiscal Year Annual Research Report
癌患者におけるHelper T cellのTh1/Th2バランスに関する研究
Project/Area Number |
11671281
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Research Institution | Nihon University School of Medicine |
Principal Investigator |
柴田 昌彦 日本大学, 医学部, 講師 (10226178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根津 健 日本大学, 医学部, 助手 (90307827)
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Keywords | 消化器癌 / 細胞性免疫能 / 悪液質 / helper T cell / Th1 / Th2バランス |
Research Abstract |
Th1細胞はinterleukin(IL)-12によって誘導され、interferon(IFN)-γ、IL-2などのサイトカインを産生しT細胞を活性化し細胞性免疫能の賦活に関わる。Th2細胞はIL-4により誘導され、IL-4,6,10などのサイトカインを産生し液性免疫能を高めると同時に細胞性免疫能の抑制に関与すると考えられる。 本研究において平成11年度までに、胃・大腸癌患者を対象に、癌患者におけるTh1、Th2のの癌の進行に伴う動態を検討した。即ち、癌患者におけるThバランスは、IL-12の癌の進行に伴う産生に関連し、Th1サイトカインの産生の低下が存在し、さらに進行してTh2サイトカインの著明な産生の増加によるTh2優位が出現し、担癌末期に顕著化することが認められ報告してきた。さらに平成12年度には、癌患者の栄養状態との関連について検討した。IL-12の産生能は血清中アルブミン濃度が低い患者では低下しており、IL-10の産生能は悪疫質患者で上昇し、transferrin,retinol binding protein,prealbuminといった栄養状態の指標と負の関連を示し、種々の免疫抑制因子の産生と相関していた。さらに、癌局所即ち腫瘍浸潤リンパ球TILあるいは腫瘍所属リンパ節リンパ球LNLを採取して末梢血リンパ球PBMCとの比較を行った。その結果、TIL,LNL共にPBMCに比べてTh1が優位であることが判明した。従って癌患者の進行状態では癌の局所免疫療法は全身を循環している免疫抑制因子の存在、あるいは局所の免疫学的背景からみて有効である可能性が高いと考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 柴田昌彦 他: "がん患者における免疫不全の機序"臨床免疫. 33・4. 506-513 (2000)
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[Publications] Masahiko Shibata, et al: "Elcvated serum concentration of interleukin-1 receptor antagonist is correlated to interleukin-6 and to hypoalbuminemia in cachectic patients with colorectal cancer "Int.J.Clin.Oncol.. 5・2. 116-120 (2000)
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[Publications] 柴田昌彦 他: "Surgical Immunology Kyoto Seminar-若手外科医のための癌免疫療法の理論と実地-"ライフサイエンス、メディカ. (2001)