1999 Fiscal Year Annual Research Report
可溶性TNFレセプターによる敗血症の病態解明と治療
Project/Area Number |
11671283
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
笹島 耕二 日本医科大学, 医学部, 助教授 (80158930)
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Keywords | 食道癌 / 敗血症 / サイトカイン / アポトーシス / 可溶性レセプター |
Research Abstract |
過大な侵襲である食道癌術後、末梢血中の好中球は術前の約3倍に上昇するのに対し,リンパ球は約30%に低下した。本研究で、リンパ球とくにT細胞の減少はTNFやインターロイキン-6などのサイトカインにより誘導されるアポトーシスよることを解明した。術後第1病日から第3病日の血清中に検出されるDNAは電気泳動でアポトーシスの指標である約200ベースペアのラダーを示した。このDNAはT細胞に特異的なT細胞レセプター由来であることをPCR法で確認した。さらに、可溶性TNFレセプター(p55、p75)は手術直後から術前の約2倍に上昇し、以後高値を持続した。レセプターの上昇はインターロイキン-6と有意に相関を示したが、TNFやインターロイキン-8とは相関が認められなかった。TNFレセプターは好中球エラスターゼとも相関した。これらの結果は、種々のレセプターは、細胞表面から蛋白分解酵素(proteases)により切離されることから、術後のTNFレセプターの上昇はインターロイキン-6により誘導されるプロテアーゼによると推測される。現在、その酵素の同定と機序について検討中である。さらに、敗血症患者では、これらTNF,可溶性TNFレセプターともに非合併症患者に比べ有意に高値を示した。しかし、TNFレセプター/TNF比は敗血症例で有意に低下した。TNFの作用を中和するためには約300倍以上の濃度のレセプターを必要とすることが報告され、TNFレセプターの投与は敗血症の予防ばかりでなく治療に有用であると考えられる。
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[Publications] Okawa, K, Sasajima, K: "Systemic and pulmonary responses of inframmatry cytokines following esophagectomy"J Nippon Medical School. 65. 42-49 (1998)
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[Publications] Matsutani, T, Sasajima, K: "Glucocorticoid attenuates a decrease of antithaomlain III following major surgery"Journal of Surgical Research. 79. 158-163 (1998)
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[Publications] Takubo, K, Sasajima, K: "Primary undifferentiated small cell carcinoma of the esophagus"Human Pathology. 30. 216-221 (1999)
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[Publications] Tsuchiya, Y, Sasajima, K: "Serum level of cytokeratin 19 fragment(CYFRA21-1)indicates tumour stage and prognosis of squamous cell carcinoma of the esophagus"Medical Oncology. 16. 31-37 (1999)
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[Publications] Sasajima, K: "Detection of T cell apotosis after major operations"European Journal of Surgery. 165. 1020-1023 (1999)