2001 Fiscal Year Annual Research Report
胃全摘後の再建術式よりみた栄養学的評価―特に血中必須脂肪酸測定の意義について―
Project/Area Number |
11671284
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
中根 恭司 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60155778)
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Keywords | 胃全摘術 / pouch造設再建術 / 血中必須脂肪酸濃度 |
Research Abstract |
70歳未満で、.重篤な合併症がなくStage IVを除く胃癌胃全摘例を対象とし、再建別に術後どのような栄養学的な差が生じるかにつき検討する。再建術式としてTreitz靭帯より20cm肛門側で空腸を切離後以下の3群を設定しprospective studyとする。尚、術後の経口抗癌剤の投与はstage Ia, Ib以外は原則として行う。 1群:約30cmのsingleの空腸を食道と十二指腸との間に間置する。 2群:約20cmの空腸pouchと10cmの空腸導管を食道と十二指腸との間に間置する。 3群:従来のRoux-Y法にて再建する。 各群10例ずつとし、術後3、6、12、24ヶ月に愁訴、食事摂取量、体重、就労状況につき問診し、同時に血清中の栄養学的指標として、total protein(TP), albumin(Alb), total cholesterol(T chol), triglycedde(TG), phospholipid(PL)および体内で合成されない多価不飽和脂肪酸濃度(ω6, ω3, ω6+3)について測定する。 【結果】現在までに手術が施行された症例は、1群:8例、2群:10例、3群:.8例である。術後6ヵ月目での検討結果を示す。食事摂取量に関しては、2群(pouch造設群)が最も良好であり、1群と3群との間では差を認めていない。体重の回復に関しては、3群とも88%前後で差はみられなかった。血清中のTP、Alb値では3群間に差を認めず、また術前値との比較でも各群とも術後変動はみられなかった。T cholに関しては、各群間に差はなかったが、各群とも術前値に較べて有意に低値を示した。 今回の研究目的である多価不飽和脂肪酸の測定(術後6-12ヵ月)は、ω6系及びω6+3系脂肪酸濃度に関しては、十二指腸を通過する郡に高い傾向を認めているが、症例数が少なく有意な差には至っていない。3群ともT chol値が低い症例は、多価不飽和脂肪酸濃度も低い傾向がみられたが、正常範囲を逸脱した症例はみられなかった。
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