1999 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌進展過程における細胞外マトリックス分解酵素の役割と阻害剤投与効果に関する研究
Project/Area Number |
11671291
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
角田 司 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00110841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 真弘 川崎医科大学, 医学部, 助手 (70299204)
真嶋 敏光 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80209428)
岩本 末治 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60168599)
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Keywords | 実験的膵管癌 / matrix metalloproteinase(MMP) / tissue inhibitor of MMP(TIMP) / 免疫染色 / ゼラチンザイモグラフィー / 血清学的早期診断 |
Research Abstract |
今回我々は、ヒト膵管癌の実験系であるハムスター膵発癌系において、細胞外マトリックス分解酵素(MMPs)の膵癌発生および、進展過程に対する役割を明らかにするとともに、血清中のMMPsの測定による膵癌血清診断の可能性を検索した。 材料としてニトロサミンにより誘発された原発性膵癌(primary pancreatic cancer,PC)および、ハムスター膵管癌皮下継代移植株(transplantable hamster pancreatic duct carcinoma,HPDt)を用い、MMP-2,9、tissue inhibitor of MMP(TIMP)-1,2、のmRNA発現をノザン解析にて、MMP-2蛋白の発現を免疫組織化学染色にて、さらに、その酵素活性をゼラチンザイモグラフィーにより解析した。またHPDtをハムスター背部皮下に移植し、腫瘍の増大にともなう血清中のMMPs発現をザイモグラフィー解析により検討した。ハムスター正常膵臓(normal pancreas,NP)と比較してPCおよびHPDtではMMP-2,9、TIMP-2,のmRNAの過剰発現がみられた。抗MMP-2抗体による免疫組織化学染色では、膵管上皮の過形成、異型過形成、膵管内癌、浸潤癌と病変が進展するにつれMMP-2蛋白発現が強くなる傾向がみられた。つまり、可逆性病変から前癌病変に到る段階で、MMP-2が重要な働きをなす事が示唆された。また、ゼラチンザイモグラフィーにおける活性型MMP-2の発現はPC、HPDtで上昇していた。担癌ハムスターにおける血清中のMMP-2,9の発現量は腫瘍の増大と相関しており、しかも、皮下の腫瘍が比較的小さい時期にすでに血清中のMMP量の増加が認められ、今後、MMPが癌進展の一つの指標になる可能性が考えられた。以上の結果より、ハムスター膵癌の発生および進展にMMP-2の発現活性化が重要であること、MMPsをマーカーとした膵癌の血清診断の可能性が示唆された。
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[Publications] Shigeo Kanazawa: "Malignant mesothelioma of the tunica vaginalis testis:Report of a case"Surg.Today Jpn.J.Surg.. 29. 1106-1110 (1999)
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[Publications] Shigeo Kanazawa: "Forskolin-stimulated adenylylcyclase activity : A marker to assess islet cell viability following cold storage in different solutions and to predict islet cell function following transplantation"Cell Transplantation. 8. 383-388 (1999)
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[Publications] Takayuki Asakawa: "Case report. Primany hepatic carcinoid tumor"J.Gastroenterol.. 34. 123-127 (1999)
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[Publications] 角田 司: "膵胆管合流異常症と胆道癌"保健福祉総合施設誌. 5・1. 11-19 (1999)
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[Publications] 岩本末治: "機能検査 (6)膵外分泌機能検査"消化器外科NURSING. 4・増刊. 184-193 (1999)
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[Publications] 金澤成雄: "周辺臓器合併切除により摘出した後腹膜巨大平滑筋肉腫の2例"日臨外会誌. 60・10. 2765-2770 (1999)
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[Publications] 川島邦裕: "80歳以上超高齢者大腸癌手術症例の検討"川崎医会誌. 25・3. 165-172 (1999)
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[Publications] 岩本末治: "胆道癌・膵癌の手術と看護"OPE nursing. 14・12. 46-50 (1999)
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[Publications] 金澤成雄: "直腸・肛門部に発生した悪性黒色腫の2例"日臨外会誌. 60・11. 2986-2990 (1999)
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[Publications] 角田 司: "6.膵疾患 5.膵内分泌腫瘍 専門医のための消化器外科学レビュー'2000-最新主要文献と解説-"総合医学社. 6 (2000)