2000 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経が悪性腫瘍の存在を認知するメカニズムの解明
Project/Area Number |
11671293
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
貝原 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (20204315)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 克明 久留米大学, 医学部, 助手 (40299467)
田尻 鉄郎 久留米大学, 医学部, 助手 (10299464)
吉田 祥吾 久留米大学, 医学部, 助手 (30191589)
村岡 達也 久留米大学, 医学部, 助手 (20299499)
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Keywords | 癌悪液質 / 脳内サイトカイン / 腫瘍増殖 / アミノ酸代謝 / 糖代謝 |
Research Abstract |
平成12年度はC57BL/6マウスを用いてエールリッヒ腫瘍を移植し、脳内TNF-a mRNAの産生の増加のみならず、TNF-a mRNAよりも強力に悪液質を誘導すると考えられるIL-1 beta mRNAの脳内産生についても検討したところ、食欲不振が出現した時点で脳内IL-beta mRNAの発現が増加していた。これらのことからこれらの脳内サイトカインが悪液質を引き起こす重要な因子であると思われた。この脳内サイトカインの増加は強制栄養によっても低下することがなく、脳内のサイトカインが背部皮下に移植した腫瘍によって増加する原因については腫瘍増殖時にみられる血糖の低下は関与しないことが判明した。また、栄養剤を投与する時に胃瘻を造設したが、その手術侵襲も栄養剤投与後開始7日目には脳内サイトカインの産生に影響を与えないことが判明した。そこで、我々は腫瘍増殖時にみられる血清アミノ酸インバランスに着目した。アミノ酸インバランスを餌によって引き起こすために、メチオニンフリーの栄養剤を雄の呑竜ラットに経腸的に投与した。ラットにはAH109Aラット腹水肝癌細胞を皮下に移植し担癌ラットを作成した。メチオニンフリーの栄養剤によって5日間ラットを飼育した後にラットを犠死せしめた。メチオニンフリーの栄養剤によって腫瘍の増殖が抑制されたが、脳内のTNF-a mRNAの産生は増加する傾向であった。以上の事から、脳内でのメチオニン濃度の低下は脳内サイトカインの産生を増加させる可能性があることが示唆された。
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