2000 Fiscal Year Annual Research Report
食道癌におけるp53癌抑制遺伝子変異の有無と抗癌剤・放射線感受性の関連について
Project/Area Number |
11671296
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
梶山 美明 順天堂大学, 医学部, 講師 (70241239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鶴丸 昌彦 順天堂大学, 医学部, 教授 (70155448)
菅野 仁 日本大学, 医学部, 講師 (70221207)
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Keywords | 食道癌 / p53癌抑制遺伝子 / 組織学的治療効果 / ダイレクトシークエンス / 治療感受性 |
Research Abstract |
【対象と方法】前年度研究では化学療法群ではp53蛋白発現状況が治療効果に影響を及ぼすことが示されたため,塩基レベルでその変異状況を明らかにすることを目的としてダイレクトシークエンスによる解析を行った.対象は化学療法群でgrade2以上の奏効を示した6例である.neoadjuvant therapy施行前に内視鏡検査で採取された生検標本を脱パラフィンし,spin column法でゲノムDNAを抽出した(QIAamp Tissue Kit.QIAGEN Ltd.,Hilden,Germany).DNA抽出後,exon5〜8の各exonごとに設定したイントロンプライマーを用いてPCR反応を30cycle行った後にDNA精製を行った.このexonごとのPCR産物をABI377シークエンサーを用いてダイレクトシークエンスして塩基レベルの変異を解析した.【結果】6例中2例で塩基レベルの変異が認められた.1例はexon7のGAC→GTC(Asp→Val),exon8のAGC→AGT(Ser→Ser)でexon7の変異のみアミノ酸置換を生じた.もう1例の変異はIvs4(-2)ag→tgの変異でありsplicing mutationであった.これら2例の免疫組織染色の結果はいずれも陰性であった.【考察】化学療法で組織学的治療効果の認められた6例中2例(33.3%)に塩基レベルでの変異が認められた.変異が確定されたにもかかわらず治療効果が認められたことは基礎的研究で示唆されているp53癌抑制遺伝子変異と治療効果の関連に疑問を呈するものであった.また明らかに塩基レベルでは変異が確定されたにもかかわらず,免疫組織染色では正常蛋白発現であったことは必ずしも塩基レベルでのp53癌抑制遺伝子変異と蛋白レベルでのp53癌抑制遺伝子変異が一致しないことを示しており,どちらの遺伝子情報が臨床的に有用であるか今後検討が必要であると考えられる.
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Research Products
(1 results)