2000 Fiscal Year Annual Research Report
「Dendritic Cell除去による同種血管の生着率向上に関する実験的検討」
Project/Area Number |
11671306
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹内 恵理保 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (70312311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 淳 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (90188954)
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Keywords | 同種移植 / 樹状細胞 / 凍結保存 / 血管移植 |
Research Abstract |
本年度はラットを用いた同種血管移植モデルの開発を行った。使用した動物は、近交系ラットであるBrown Norway ratとLewis ratである。同種異系(syngeneic)群ではBrown Norway ratをdonorに、Lewis ratをrecipientに用い、同種同系(allograft)群ではdonorとrecipientの両方にLewis ratを用いた。Donor ratに全身麻酔をかけ、ヘパリン投与後に胸部下行大動脈を摘出した。肋間動脈は移植後にリークを来さぬよう電気メスにて充分凝固処理を施した。摘出した下行大動脈は氷上で冷却したヘパリン生食に浸しておいた。次にRecipient ratに全身麻酔をかけ開腹し腹部大動脈を露出し、腎動脈下部から分岐部にかけて剥離した。ヘパリンを静注後に剥離した腹部大動脈をクランプし、ヘパリン生食中で保存しておいたdonorの胸部大動脈を異所性に移植した。吻合は9-0 monofilament縫合糸を用いて結節縫合で行った。止血確認の後閉創し、充分覚醒するまでランプで体温保持に留意した。抗凝固療法や免疫抑制剤は使用しなかった。術後2週間目にヘパリン投与後に犠牲死させ移植した胸部大動脈を摘出し、組織学的検索を行った。ヘマトキシリン・エオジン染色の結果、allograft群では外膜に著明な細胞浸潤が出現し内腔面には著明な内膜肥厚が見られた。また、中膜では細胞成分が減少し、中膜壊死の状態を呈していた。一方、syngeneic群ではこれら3つの所見は観察されなかった。これらの結果から、ラット大動脈異所性移植を用いた同種血管移植モデルが完成されたものと結論された。来年度はこのモデルを用いて、dendritic cellの除去あるいは減弱化がこれら同種血管移植後の組織変化にどのような影響を与えるかを観察することとする。
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