2000 Fiscal Year Annual Research Report
超低体温逆行性脳循環における至適な血液ガス管理法の研究
Project/Area Number |
11671307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮入 剛 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50302683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 新 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (70190874)
高本 眞一 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60137833)
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Keywords | 逆行性脳循環 / 超低体温 / 人工心肺 / alpha-stat / pH-stat / NOx |
Research Abstract |
(背景)弓部大動脈瘤手術時の脳保護の手段として1)超低体温循環停止(CA)2)超低体温順行性脳循環3)超低体温逆行性脳循環(RCP)がある。本施設ではRCPを採用しており良好な成果を上げている。その際の至適な脳灌流圧、脳灌流量についての検討は既に報告されているが、血液ガス管理について(1)alpha-stat(温度補正をせずPCO2を40mmHg前後とする)と(2)pH-stat(温度補正をしてPCO2を40mmHg前後とする)のいずれが至適であるかについて一定の結論が出ていない。CAにおける脳保護効果をNO代謝から検討した報告が近年なされているが、RCPにおいてはなされていない。(目的)RCPでの血液ガス管理(とくにCO2管理)による脳保護効果を脳皮質血流量(CBF)、脳内血流分布、酸素代謝、NO代謝の面から比較検討する。(方法)成犬使用。体外循環確立後、alpha-statにて鼻咽頭温18℃まで冷却した。RCP群は灌流圧25mmHg前後で90分間施行。脳への送血のCO2濃度によりA alpha-stat B pH-statの2群に分類した。control群としてC antegrade群を設定し比較の対象とした。結果)RCP中pH-stat下ではalpha-statに比しCBF,CMRO2(脳酸素代謝率)は有意に高値を示し,灌流血のNOxが有意に抑制された。脳内血流分布に部位差を認めず、またCO2管理による差も認めなかった。(考察)pH statによるNOx低下は細胞内Ca influxを抑制しNMDA receptorの活性化を抑制することでnNOS由来の神経傷害を抑制するという機序を反映している可能性があると考えられ、RCPにおけるpH-statはCBF,酸素代謝のみならずNO代謝の面からも脳保護的である可能性が示唆された。
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