1999 Fiscal Year Annual Research Report
細胞増殖因子の心筋内投与による心筋梗塞の血管新生療法の研究
Project/Area Number |
11671311
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
川筋 道雄 金沢大学, 医学部, 助教授 (40135067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 奨 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (40313655)
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Keywords | 心筋梗塞 / 線維芽細胞増殖因子 / 血管新生 |
Research Abstract |
心筋梗塞に対する細胞増殖因子を用いた血管新生療法の可能性を探ることを目的として,急性心筋梗塞モデルを用いて塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)を心筋内に投与し,血管新生,心筋血流量,心機能,梗塞後左室形態に及ぼす影響を検討した. 成犬で左冠状動脈前下行枝を結紮し心筋梗塞モデルを作成した.実験動物を2群に分け,bFGF投与群と対照群とした.bFGF投与群ではbFGF100μgを心筋梗塞領域ならびに梗塞境界領域の心筋内に分散注入し,対照群では同様に生理食塩水を心筋内投与した.冠状動脈結紮前,直後,3日,1週,2週,4週後に左心耳からカラーマイクロスフェアーを注入し,4週後に心臓を摘出し,左室心筋層を輪状に切除し,梗塞領域,梗塞境界領域および正常領域に分け,カラーマイクロスフェアー数を計測し,局所心筋血流量を測定した.また同時期に左室壁運動と心機能を計測した.摘出心で,左室壁菲薄化率と左室拡大指数を計測し,梗塞後左室再構築を定量化した.血管内皮細胞のマーカーであるvon Willebrand因子の免疫組織化学染色を行い、血管新生像を評価した.対照群では2週から血流回復が見られたが,bFGF群では3日から血流回復が認められた.対照群に比し,bFGF群で7日の左室駆出率の回復が良好であった.bFGF群で梗塞部左室壁菲薄化と左室拡大が抑制された.境界領域でbFGF群の毛細血管数と細動脈数が多かった。 心筋梗塞モデルにおけるbFGFの心筋内投与は血管新生によって局所心筋血流を増加させ,左室再構築過程で心機能を改善した.bFGGを用いた血管新生療法は現在の虚血性心疾患に対する治療法を補うものとして臨床応用が期待される.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Michio Kawasuji: "Arterial revascularization - 18 year experience with coronary artery bypass grafting in patients with familial hyperchol."Jpn. J. Thorac. Cardiovasc. Surg.. 47.4. 330-334 (1999)
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[Publications] 川筋道雄: "不安定狭心症に対する外科治療"循環器科. 46.6. 573-578 (1999)
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[Publications] Yasuda Tamotsu: "Coronary artery-bypass grafting in patients with hypopituitarism"Jpn. Circulation J.. 64.3. 207-208 (2000)
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[Publications] Michio Kawasuji: "Therapeutic angiogenesis with intramyocardial adminstration of basic fibroblast growth factor"Ann. Thorac. Surg.. 69(inpress). (2000)
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[Publications] 川筋 道雄: "胸部外科手術のpitfallと最新術式"日本胸部外科学会・学術企画印刷 (分担執筆). 372 (1999)