2000 Fiscal Year Annual Research Report
PCR-DD法による心慢性拒絶反応に関与する新規遺伝子クローニングの試み
Project/Area Number |
11671321
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榊田 悟 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90311753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶌 教偉 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (30263247)
澤 芳樹 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00243220)
白倉 良太 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (00116047)
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Keywords | 慢性拒絶反応 / ラット異所性心移植 / 戻し心移植法 / Differential display / イムノグロブリンkappa鎖 |
Research Abstract |
昨年同定した5日目再移植心の血管病変進行期(再移植14〜30日)に選択的に発現する約420bp(3CB1)と約1.1kbp(3EB2)の2本の差異バンドをクローニングし、核酸配列を決定した。3CB1の配列はラットイムノブロブリンk鎖の定常部と99%一致した。3EB2からは2種類の異なった核酸配列が同定された。その核酸配列はどちらも既知の遺伝子配列とは相同性が極めて低かった。同定された計3種の遺伝子配列に対し、各々の遺伝子に特異的なPrimer,Probeセットを作成し、TaqMan RT-PCR assayで各々の遺伝子が3日または5日再移植心にどの様に発現するかを検討した。Igk鎖は5日再移植心で再移植後30日をピークとした発現パターンをとり、同時期の3日再移植心と比較して10倍以上、正常心の800倍以上の発現誘導を示し、本遺伝子が再移植心の血管病変進行期に選択的に発現する遺伝子であることが確認された。しかし、3EB2由来の2遺伝子では再移植後どの時点においても有意な発現差が確認出来ず、Differential displayの結果は、偶然バンドが重なったための人為的なものであると考えられた。Igk鎖の発現は予期しないB細胞の存在を示唆するが、その役割を推察するために定量的RT-PCR法でB細胞遊走および活性化に関与する分子の発現を再移植後全時間経過に渡って検討したところ、CD40L,B7-2,BLC遺伝子がIgk鎖とほぼ同様の発現パターンをとることが明かとなった。この結果は移植心中のB細胞は単にBystanderとして存在するのではなく、能動的に遊走し活性化されていることを示すものと考えられた。 以上、再移植心にPCR-DD法を応用することで慢性拒絶心局所におけるB細胞の意義という新たな病態解明への手がかりが得られた。
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[Publications] M.Tori,S.Kitagawa-Sakakida,Z.Li,H.Izutani,K.Horiguchi,T.Ito,H.Matsuda,R.Shirakura: "Initial T-cell activation required for transplant vasculopathy in retransplanted rat cardiac allografts."Transplantation. 70・5. 737-746 (2000)
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[Publications] S.Kitagawa-Sakakida,M.Tori,Z.Li,K.Horiguchi,H.Izutani,H.Matsuda,R.Shirakura: "Active cell migration in retransplanted rat cardiac allografts during the course of chronic rejection."Journal of Heart and Lung Transplantation. 19・6. 584-590 (2000)
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[Publications] 榊田悟,藤原大美: "新移植免疫学 第3章 移植抗原認識機構と急性拒絶反応"中外医学社. 24 (2000)
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[Publications] 榊田悟: "新移植免疫学 第4章 慢性拒絶反応と異種移植片拒絶反応"中外医学社. 21 (2000)