2000 Fiscal Year Annual Research Report
新しい血管新生抑制因子BAI1を用いた肺癌の遺伝子治療の開発
Project/Area Number |
11671325
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤原 俊義 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (00304303)
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Keywords | アデノウイルスベクター / BAI1 / 血管新生 / 遺伝子治療 / ヘバラナーゼ / アンチセンス |
Research Abstract |
ヒト肺癌細胞と胸膜播種モデルを用いてBAI1遺伝子発現アデノウイルスベクター(Ad5BAI1)の胸腔内投与の抗腫瘍効果を検討を検討した結果、期待した程の結果が得られなかった。そこで、転移浸潤に関与していると考えられているヘパラナーゼのアンチセンス・アデノウイルスベクターを作成し、同モデルにおいて抗腫瘍効果を検討することとした。ヒト由来ヘパラナーゼcDNAを、順方向および逆方向にE1欠損非増殖性アデノウイルスベクターに組み込み、センス・ベクター(Ad-S/Hep)、アンチセンス・ベクター(Ad-AS/Hep)を構築した。ヒト非小細胞肺癌細胞株A549にAd-S/Hepを感染させると、mRNAおよび蛋白質レベルで濃度依存性にヘパラナーゼの高い発現が認められたが、A549細胞自体にはヘパラナーゼの発現はみられなかった。臨床症例の非小細胞肺癌組織ではヘパラナーゼ遺伝子の発現が確認できたため、培養細胞株において発現が低下している可能性が示唆された。したがって、,A549細胞に低濃度のAd-S/Hepを感染させ、この発現をAd-AS/Hepで抑制する実験系を用いることにした。ヘパラナーゼ遺伝子の発現は、A549細胞のin vitroにおける増殖に影響を与えなかった。A549細胞に5MOIのAd-S/Hepを感染させ、24時間後に5、10、50MOIのAd-AS/Hepを追加感染させると、ヘパラナーゼ発現は濃度依存性に抑制された。さらに、ヘパラナーゼの基質であるヘパラン硫酸を含むマトリゲルをもちいたInvasion Assayを行った。Ad-S/Hepを5MOIで感染させたヘパラナーゼ遺伝子発現A549細胞は、コントロールのA549細胞より浸潤能が増強していたが、Ad-AS/Hepの感染によりその浸潤は有意に抑制された。また、Ad-S/Hepを感染させたA549細胞をヌードマウスの胸腔内に注入し、その後、胸腔内にAd-AS/Hepベクターを投与する治療実験を行った。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Fujiwara,T., et al.: "Adenovirus-mediated p53 gene therapy for human cancer."Molecular Urology. 4. 51-54 (2000)
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[Publications] 藤原俊義 他: "癌の遺伝子治療"Bioindustry. 17. 5-14 (2000)
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[Publications] 藤原俊義 他: "p53遺伝子導入による血管新生抑制:肺癌遺伝子治療への応用"癌と化学療法. 27. 1217-1224 (2000)
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[Publications] 藤原俊義 他: "呼吸器疾患の遺伝子治療.「先端医療シリーズ10・呼吸器疾患-最新医療と21世紀への展望-」"先端医療技術研究所. 26-35 (2001)