2000 Fiscal Year Annual Research Report
超低体温体外循環における血小板傷害の解明機序予防法の開発
Project/Area Number |
11671333
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Research Institution | OITA MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
宮本 伸二 大分医科大学, 医学部, 助教授 (70253797)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
穴井 博文 大分医科大学, 医学部, 助手 (20291544)
重光 修 大分医科大学, 医学部, 助教授 (40215968)
葉玉 哲生 大分医科大学, 医学部, 教授 (00145377)
迫 秀則 大分医科大学, 医学部, 助手 (20315344)
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Keywords | 血小板自然凝集 / 血小板微少凝集 / 超低体温体外循環 |
Research Abstract |
臨床研究として通常の中体温(30度)体外循環症例と超低体温(20度)体外循環症例(弓部置換)において血小板機能と微小凝集形成を計測した。ヘパリン投与前には中〜大凝集を伴わない微小凝集が3×10^<-6>mol/LのADP(adenosine diphosphate)刺激にて観察され(15万程度)、ヘパリン投与後はさらに感受性が増し、3.9×10^<-7>mol/LのADP刺激でも微小凝集が観測された。中体温体外循環では体外循環開始後30分、60分と徐々に血小板感受性が低下し、1.56×10^<-6>mol/LのADP刺激での微小凝集が15000から6000程度になった。それに比し超低体温体外循環では既に体外循環後30分で3×10^<-6>mol/LのADP刺激でも微小凝集塊形成が見られなくなった。一時間以上の超低体温体外循環が継続すると微小凝集らしい粒子が計測されるようになるが、これがデブリスか自然凝集かの判別は困難であった。中低体温体外循環では体外循環終了後1時間経た時点で体外循環中より更に血小板機能は低下し、3×10^<-6>mol/LのADP刺激でも微小凝集は形成されなくなっていた。しかし、2×10^<-4>mol/LADP刺激による通常の透過性判定での血小板機能で既にその時点で術前レベルまで復帰していた。模擬回路と血小板以外の血球成分を除いた血小板液を用いた実験では、臨床例と同様に循環開始と同時に血小板機能は徐々に低下していったが、冷却を始めると急速に機能低下がすすんだ。しかしながら自然凝集らしき粒子は超低体温循環時にも観察されなかった。したがって、低体温そのものによる出血傾向に与える影響は、血小板活性増加による血小板消費ではなく、血小板自体の機能低下によると考えられた。
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