2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト胸腺そのT細胞選択におけるアポトーシスの分子機構
Project/Area Number |
11671334
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Research Institution | NAGOYA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
斉藤 雄史 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (80281260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 義敬 名古屋市立大学, 医学部, 教授 (40156831)
梶 政洋 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30326144)
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Keywords | Protein Kinase C / ionomycin / positive selection / CD4 down-regulation / bcl-2 |
Research Abstract |
本年度は平成11年度に行った胸腺におけるdouble positive cellのnegative selection(apoptosis)の解明と関連してpositive selectionの伝達シグナルについての解析を行った。胸腺T細胞のpositive selectionはlow avidityのT cell receptor(TCR)ligationにより引き起こされ、成熟T細胞が生み出される。マウスのpositive selectionを誘導するシグナルとしてprotein kinase C(PKC)の活性化と細胞内Ca2+濃度の上昇が明らかとなっているが、ヒトではいまだ明らかではない。そこでヒト胸腺細胞のpositive selectionにおいてPKCの活性化と細胞内Ca2+濃度の上昇が関与しているかを、PKC activator、phorbol-myristate-acetate(PMA)とcalcium ionophore、ionomycinを使って調べた。ヒト胸腺細胞をPMAとionomycinの組み合わせで20時間培養して、その後24時間mediumのみで培養した時のCD4,CD8,CD3,CD1のphenotypeの変化と細胞増殖能、annexin Vとbcl-2の発現について調べた。ヒト胸腺細胞はmediumのみでの培養と比べ、PMA2ng/mlとionomycin 2μg/mlの組み合わせによる培養でannexin Vの発現が抑制されapoptotic cellが減少しviable cellが増加した。また時間の経過とともにCD4のdown regulationがみられた。PMA/ionomycin処理をした胸腺細胞は培養直後よりCD69を強く発現をしており、また高い細胞増殖能も認められた。sortingしたDP cellでもPMA/ionomycin処理によりbcl-2のup regulationと高い細胞増殖能、CD1のdown regulationがみられた。しかしCD3の発現は変わらずlowのままであった。またPMA/ionomycin処理した胸腺細胞はdexamethasoneにより誘導されるapoptosisに抵抗性を示した。以上の結果からヒトの胸腺細胞においてもPKCの活性化と細胞内Ca2+濃度の上昇がpositive selectionに関与していると考えられる。
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