1999 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経細胞障害におけるミトコンドリア膜透過性遷移の役割に関する研究
Project/Area Number |
11671350
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒田 敏 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (10301904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宝金 清博 北海道大学, 医学部・附属病院, 講師 (90229146)
多田 光宏 北海道大学, 医学部, 講師 (10241316)
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Keywords | mitochondria / permeability transition / calcium / ischemia / reperfusion / free radical / cytochrome c / cyclosporin A |
Research Abstract |
ラット前脳から超遠心装置を用いて、迅速にミトコンドリアを単離する方法を確立した。この方法により、synaptosomal mitochondriaおよびfree mitochondriaいずれも単離することが可能となった。Clark型酸素電極を用いたミトコンドリア呼吸活性の測定や電子顕微鏡による形態の確認により、良好なミトコンドリアであることが確認された。単離されたミトコンドリアの浮遊液の吸光度を持続的に測定することにより、in vitroにおけるミトコンドリア膜透過性遷移(Mpt)を観察が可能となった。カルシウム負荷によるMptの発現には閾値が存在することが判明したが、肝や心ミトコンドリアとは異なり活性酸素によるMptの誘導は生じないことが判明した。免疫抑制剤のcyclosporin AはMptを強く抑制するが、FK506は無効であることが判明した。前脳虚血により海馬CA1細胞に遅発性神経細胞死が生じるモデルを確立した。Cyclosporin Aの大量投与により、これが著しく抑制されることを確認した。これらの結果は短報として大学院生により次頁のように発表予定である。新皮質と海馬からそれぞれのミトコンドリアを微量づつ単離する方法を確立した。これを用いてMptの誘導実験を行なった。両者からのミトコンドリアではMptを誘発するカルシウムの閾値に大きな差はないことが判明した。Western blot techniqueを用いて、Mptにともなうミトコンドリア蛋白の放出を観察するシステムをほぼ確立した。この結果、Mptによってcytochrome cがミトコンドリアから微量ではあるが、放出されることが確認された。前脳虚血モデルにおける海馬CA1細胞でもcytochrome cが細胞質に放出されるか否かを、現在、Western blotおよび免疫二重染色法により検討中である。
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Research Products
(1 results)