1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳腫瘍における薬剤耐性モニタリングと耐性克服薬による抗癌剤治療効果増強法の開発
Project/Area Number |
11671351
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
笹嶋 寿郎 秋田大学, 医学部, 講師 (40235289)
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Keywords | 悪性脳腫瘍 / Tc^<99m>-MIBI / MDR1mRNA発見 / 薬剤耐性 / 増殖能 |
Research Abstract |
今年度は悪性腫瘍細胞における^<99m>Tc-MIBI集積と増殖能およびP糖タンパク質をコードするMDR1のmRNA発現量との関連について検討した.ラットグリオーマ細胞株(C6,RG2)および癌細胞株(Walker256:W256)は10%FBS添加MEMを用いて単層培養された.各細胞増殖期において3重標識したアミノ酸欠乏10%牛胎児血清添加MEM(^<14>C-thymidine;^<14>C-TdR,^<99m>Tc-MIBIまたは^<99m>Tc-DTPA)に交換し,5分から60分にわたって細胞および培養液を経時的に採取して細胞内および培養液中のトレーサ濃度を測定した.採取による障害細胞および細胞外腔へのトレーサ集積は^<99m>Tc-DTPAの集積を用いて補正して真の細胞/培養液濃度比を算出した.腫瘍細胞への各トレーサの集積は^<14>C-TdRについては培養液から細胞内へのトレーサの流入を示す速度定数K_iで,細胞内流入が測定時間内に平衡状態に達する^<99m>Tc-MIBについては細胞内集積量を反映するvolume distributionで評価した.MDR1mRNA発現量は各増殖期の細胞からtotal RNAを抽出し,RT-PCRにより測定し,各細胞株の^<99m>Tc-MIBI集積との関連を解析した. いずれの腫瘍細胞も細胞密度の増加に伴い,増殖能を反映する^<14>C-TdR集積は有意に低下し(p<0.01),^<14>C-TdR集積は細胞密度と密接に関連した(r=0.99).^<99m>Tc-MIBIの集積はいずれの腫瘍細胞においても^<14>C-TdRの集積と相関がなく,増殖能との関連は少なかった.一方,MDR1 mRNA発現量は各増殖期による差異がなく,MDR1 mRNAの高発現細胞株ほど^<99m>Tc-MIBIの集積が有意に低下し(r<0.01),異なる細胞株間において^<99m>Tc-MIBIの集積はMDR1mRNAの発現と負の相関がみられた(r=0.96).悪性腫瘍細胞において^<99m>Tc-MIBI集積は増殖能と必ずしも関連しなかったが,^<99m>Tc-MIBIの集積とMDR1mRNAの発現には有意な負の相関が確認され,MDR1mRNA発現における腫瘍特異性が判明し,^<99m>Tc-MIBIは多剤耐性モニタリングの指標として期待される.
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