2000 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマの悪性化における細胞周期制御機構の障害とテロメレース活性化の関与とその機構の解明
Project/Area Number |
11671357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 敬介 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20302705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
望月 俊宏 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30302706)
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Keywords | グリオーマ / 細胞周期 / 遺伝子異常 / テロメレース / p16 |
Research Abstract |
グリオーマの悪性化には、G1期チェックポイントにおける細胞周期制御機構の障害が関与しているが、同時に、細胞を不死化するメカニズムとして、テロメレースの活性化が認められる。このふたつの機構が密接に相関しているとの仮定のもとで、株化グリオーマ細胞に対してp16INK4を強制発現させることによるテロメレースの活性の変化を見るとともに、様々なグレードのグリオーマにおいて、13qLOH(RB),CDKN2A欠失(p16),CDK4遺伝子増幅(Cdk4)という3つの遺伝子異常の出現と、テロメレース発現状態について検討した。 T98G,U251というふたつの細胞株において、アデノウイルスベクターに組み込んだp16/CDKN2A遺伝子を強制発現させたところ、細胞増殖が抑制され、細胞は平坦化して分裂増殖が停止した。この状態におけるテロメレース活性を測定したところ、T98Gにおいてはほぼ完全に、またU251においては著明にテロメレース活性が抑制されることを見いだした。 グリオーマ検体における13qLOH、CDKN2A欠失、CDK4増幅は、予想された様に、悪性度の高いものほど高率に認められた(grade4;80%,grade3;20%,grad2;5%)。しかし、我々の検討ではテロメレースの活性は報告されているよりも頻度が低く、グリオブラストーマの約半数においてしか検出されなかった。また、テロメレース活性と細胞周期制御機構の異常との相関も見いだせなかった。 従って、培養細胞における知見と、実際の腫瘍における知見とは現時点では整合していない。ただし、腫瘍の採取条件などにややばらつきが見られるなどの因子が存在し、確定的な結論とはいいきれない。今後の検討を続けたい。
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[Publications] 植木敬介: "乏突起神経膠腫"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ28、神経症候群. 31-33 (2000)
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[Publications] 植木敬介: "悪性乏突起神経膠腫"別冊日本臨床 領域別症候群シリーズ28、神経症候群. 34-36 (2000)
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[Publications] 植木敬介: "オリゴデンドログリア細胞腫の遺伝子解析と化学療法感受性"Molecular Medicine. 37. 149-153 (2000)
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[Publications] Pohl U,Smith JS,Tachibana I,Ueki K,Lee HK,Ramaswamy S,Qiang W,Mohrenweiser HW,Jenkins RB,Louis DN: "EHD2,EHD3 and EHD4 encode novelmembers of a highly conserved family of EH domain containing proteins."Genomics. 63. 255-262 (2000)
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[Publications] Smith JS,Tachibana I,Pohl U,Lee HK,Thanarajasingam U,Portier BP,Ueki K,Ramaswamy S,Billings SJ,Mohrenweiser HW、Louis DN,Jenkins RB.: "Atranscript map of the chromosome 19 q-arm tumor suppressor region."Genomics. 64. 44-50 (2000)
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[Publications] Bauman GS,Ino Y,Ueki K,Zlaescu MC,Fisher BJ,Macdonald DR,Stitt L,Louis DN,Cairncross JG: "Allelic loss of chromosome 1p and radiotherapy plus chemotherapy in patients with oligodendrogliomas."Int J Radiat Oncol Biol Phys. 48. 825-830 (2000)