1999 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の抗血管新生および抗腫瘍遺伝子併用療法開発に関する研究
Project/Area Number |
11671372
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Research Institution | 大分医科大学 |
Principal Investigator |
森 照明 大分医科大学, 医学部, 助教授 (60124632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 竜也 大分医科大学, 医学部, 助手 (40281216)
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Keywords | angiogenesis / VEGF / NFκB / IκB / Glioma / gene therapy |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍における血管新生をターゲットとした遺伝子療法の研究を行う上で、我々は以下の4項目を柱においた。すなわち、増殖因子の発現制御、転写因子の制御、プロテアーゼの制御、および内因性抗血管新生因子の発現誘導である。これらの中で、本年度は転写因子制御による血管新生、脳腫瘍病理標本におけるVEGF発現を検討した。転写因子制御による血管新生においてはwild type(W)およびdominant negative(ΔN) IκBα遺伝子導入glioma細胞の樹立を試みた。周知のようにIκBはNFκBのp65サブユニットと結合してそのDNA結合を阻害し、NFκBのダウンレギュレーションに関与している可能性が示唆されている。まず、Dr.Barrardより寄贈されたWおよびΔNIκBα遺伝子をpcDNAplasmid(Invitrogen)のCMVpromoterの下流に挿入した。このIκBα遺伝子の挿入されたplasmidをリポフェクチン法にてglioma細胞株に遺伝子導入した。使用した細胞株はIN157と、このIN157のvincristinおよびVP-16耐性株、さらにU251細胞株である。遺伝子導入後、ampicillin selectionにて耐性クローンを拾い上げた。今後これらの細胞を用い、我々の開発したin vitro血管新生モデルにて血管新生能のスクリーニングを行う予定である。脳腫瘍標本におけるVEGF発現は、悪性脳腫瘍患者のパラフィン包埋切片を免疫組織学的に検討したが、ごく少数例の悪性腫瘍患者においてVEGF陽性細胞が見られたのみであった。この件については今後症例の選択、抗体の選択等課題があるものと考えられた。さらにアンギオスタチン、エンドスタチン等の抗血管新生因子の発現も検討予定である。
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