1999 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入によるグリオーマ糖脂質抗原の細胞接着、浸潤における機能的解析
Project/Area Number |
11671374
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
八巻 稔明 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80211621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70226702)
沢田 典均 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (30154149)
伊林 至洋 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50193636)
中村 正弘 札幌医科大学, 医学部, 助手 (20260763)
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Keywords | グリオーマ / シアル酸転移酵素 / GM3ガングリオシド / GD3ガングリオシド / 浸潤 / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
糖脂質組成の変化が神経膠腫の生物学的特性、特に増殖、接着、浸潤にどのような変化を与えているのかは未だ不明である。糖脂質の発現を合成阻害剤を用いることで変化させ、その接着、浸潤に対する影響を評価したところ、糖鎖抗原の発現変化が細胞の接着、浸潤に影響を与えることが示唆された。しかしながら糖脂質合成阻害剤は糖脂質合成以外にも糖脂質前駆物質の蓄積により細胞内に影響を与えている可能性があり、他の方法を用いた検証も必要である。今回は、グリオーマ細胞にシアル酸転移酵素遺伝子を導入し、ガングリオシドの組成を変化させ、その接着、浸潤における細胞機能の変化を評価する方法で、ガングリオシドが接着、浸潤に関わる固有の機能を担っていることを裏付けようとした。ラットグリオーマ細胞株RG2はその糖脂質成分がほぼGM3ガングリオシドからなる単純な組成を示している。糖脂質合成抑制剤D-PBPPを作用させるとRG2細胞はMatrigel invasion chamberにて浸潤能の亢進を示し、これは外来性のGM3を投与して糖脂質発現を正常化させると浸潤能の変化も元の状態に回復した。これによりGM3が浸潤に深く関わっていることが示唆された。今回はGM3ガングリオシドにシアル酸を付加してGD3ガングリオシドを多量に発現させるべくRG2細胞にシアル酸転移酵素を導入して安定なクローンを3種得ることができたが、細胞の形態、増殖能、細胞間基質(collagen type I,IV,laminin,fibr onectin)に対する接着性、Matrigel invasion chamberにおける浸潤能のいずれのアッセイにおいてもRG2-GD3クローンの生物学的な機能に変化は認められなかった。
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