1999 Fiscal Year Annual Research Report
遅発性神経細胞死におけるグルタミン酸受容体・gap結合の細胞生理学的研究
Project/Area Number |
11671383
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
小黒 恵司 自治医科大学, 医学部, 講師 (90231232)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増沢 紀男 自治医科大学, 医学部, 教授 (60049038)
川合 述史 自治医科大学, 医学部, 教授 (00073065)
小島 隆 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30260764)
|
Keywords | 脳虚血 / グルタミン酸受容体 / 海馬 / antisense / gap junction / connexin |
Research Abstract |
1)Antisense GluR2を用いたGluR2仮設の検証 ラット脳室内にGluR2 antisense oligodeoxynucleotide(ODN)を定位的に脳室内に投与し、組織化学的に細胞死誘導の有無を検討した。10nM、5μlのGluR2 antisense ODNを1.2時間毎に4回の注入を行った結果、最終注入2日後より海馬CA1およびCA3領域に部分的神経細胞死を認めた。Scrambled ODNおよびvehicleの注入によるcontrol studyでは細胞死は認められなかった。antisenseの有効性の確認の為行った、in situ hybridization及びWestern blotにより、GluR2 mRNA/蛋白の減少が経時的確認された。NMDA型受容体(AP5,MK-801)およびAMPA型受容体(CNQX,Naspm)拮抗菌を同時投与したところ、後者でのみ細胞死の誘導が抑制され、本現象にCa^<2+>透過型AMPA型受容体が強く関与していることを明らかにした。さらに、通常では細胞死の得られない2分間の閾値下前脳虚血を与えた砂ネズミにおいて、事前に脳室内にGluR2 antisenseを投与した動物では、海馬CA1領域に遅発性神経細胞死が得られ、antisenseによる人為的なGluR2 knock downによって誘導される細胞死が、虚血による遅発性神経細胞死と共通のメカニズムを持つものであることが強く示唆された。以上の実験結果は遅発性神経細胞死におけるGluR2仮設を強く支持するものである。 本研究結果の概要はJ Neuroscience 19:9218-9227、1999に発表した。 2)脳虚血におけるgap junctionの役割 まず、これまで全く報告がなかった前脳虚血(20分)における海馬gap junction(connexin32,36,43)の経時的な変化を後述のknock-out mouseの背景strainであるC57BL/6マウスを用い、in situ hybridization,Northern blottingおよびWestern blottingによりmRNA/蛋白レベルで観察した。この結果、いずれのconnexinもmRNAレベルでは虚血後早期から経時的に減少するにもかかわらず、蛋白レベルでは変化がないかわずかに増加することが分かった。このmRNA/蛋白のdiscrepancyの原因は現時点では不明である。 さらに、虚血におけるgap junctionの機能的役割を知るため、Cx32 knock-out mouseおよびwild type mouseの両側頚動脈を10分間遮断し、3日後、海馬の組織学的変化の違いを観察した。その結果、Cx32 knock-out mouseでは虚血に対するsusceptibilityがwild typeより高いことが明らかになった。このことは、gap junctionに虚血保護効果のあることを示唆するものである。 本研究結果の概要は1999年8月及び10月のinternational gap junction meeting(スイス)、米国神経科学会(マイアミビーチ)にて発表した。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Oguro K, Oguro N., Kojima T., Grooms S.Y., Calderone A., Zheng X., Bennett M.V., Zukin R. S.: "Knockdown of AMPA receptor GluR2 expression causes delayed neurodegeneration and increases damage by sublethal ischemia in hippocampal CA1 and CA3 neurons"J Neurosci. 19. 9218-9227 (1999)