2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳挫傷と血管内皮障害:血管内皮への白血球接着に始まる細胞損傷の機序とその治療
Project/Area Number |
11671397
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山本 隆充 日本大学, 医学部, 助教授 (50158284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越永 守道 日本大学, 医学部, 講師 (30267067)
川又 達朗 日本大学, 医学部, 講師 (20234122)
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
加納 恒男 日本大学, 医学部, 助手 (40277413)
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Keywords | 脳挫傷 / 白血球 / 血管内皮 / P-selectin / vinblastin / myeloperoxidase活性 / ラット |
Research Abstract |
挫傷脳おける多核白血球の血管内皮への吸着、組織内集積が、脳挫傷の二次性組織損傷の進行に、どの時点でどのように関与しているかを明らかにする目的で実験を行った。【方法】ラットの皮質脳挫傷モデルを用いた。《実験1》脳挫傷作成、3時間、24時間、48時間後に、組織への白血球集簇の指標として、組織myeloperoxidase(MPO)活性の測定を行った。Vinblastinを前投与し白血球を減少させたラット、ならびに白血球の血管内接着に関与していると考えられているP-selectinの中和抗体であるmonocronal P-selectin antibodyを外傷直後に投与したラットにおいて、同様の観察を行った。《実験2》P-selectin antibodyを、脳挫傷作成直後、作成24時間後、48時間後に投与し、2週間後に動物を潅流固定して脳を摘出し、H-E染色冠状断連続切片を作成し、挫傷性壊死組織の体積を算出した。【結果】挫傷脳のMPO活性は、受傷24時間にて最高値となり、shamの約20倍まで上昇した。Vinblastin投与群、P-selectin投与群において、組織MPO活性の上昇は、有意に抑制された(p<0.01)。《実験2》P-selectin投与による挫傷性壊死組織の縮小効果は、受傷直後に投与した群で最も高かった。受傷48時間後に投与した群は、生食投与群と比較して有意の効果を示さなかった。【考察】脳挫傷では、組織損傷の進行に多くの病態が関与している。このうち、白皿球の血管内皮への吸着、組織内への集簇に始まる二次性の組織損傷は、主として受傷後早期、特に24時間以内に進行していくことを、今回の実験結果は示している。従って、この機序を抑制することによる脳挫傷の治療は、受傷24時間以内のできる限り早期に開始すべきである。
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