2001 Fiscal Year Annual Research Report
血液透析患者特有の破壊性脊椎病変に関する臨床医学および免疫・組織学的検討
Project/Area Number |
11671410
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊東 学 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (00271677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 善久 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (40312368)
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Keywords | 血液透析 / 破壊性脊椎関節症 / 病理 / 手術治療 |
Research Abstract |
血液透析の技術の向上とともに、血液透析患者の生存期間は著明に延長し、従来解らなかった新たな透析関連疾患が注目されてきた。長期透析患者の破壊性脊椎関節症は、椎間板、椎間関節、椎体の破壊による高度の脊柱不安定性から招来される脊髄障害などの重篤な神経症状を惹起する。これは、透析患者のADLに重大な影響を及ぼす重篤な合併症である。本研究では札幌近郊の維持透析患者の頚椎病変と腰椎病変の疫学調査を行い、頚椎の破壊性病変は19%、腰椎は9%との調査結果を得た。また、破壊性脊椎関節症となり手術治療を要する患者の、術中摘出した骨および軟部組織を走査電子顕微鏡や光学顕微鏡を使用し、脊椎構成要素に対するアミロイドの沈着状況を初めて明らかにした。特に、破骨細胞の異常な活性化が局所の骨破壊を増幅していること、また同一個所では骨芽細胞の活動性が著しく抑制されていることが判明した。外科的治療の確立では、骨癒合率が極めて悪いと言われていたが、脊椎インストゥルメンテーションの応用で格段に骨癒合率を進歩させた。これらの業績は、米国の脊椎学会や国際頚椎学会などで高い評価を得た。そして、頚椎再建の臨床成績が国際ジャーナルに掲載された。数多くの国内誌への投稿も行った。国際学会での多くの講演や、シンポジウムでの招請講演なども数多く行った。また、従来の困難な治療を格段と進歩させたのみでなく、あらたな固定隣接椎間での破壊性病変の進行などの問題を提起し、この病態の根深い臨床問題を提起しつづけている。多くの国内の施設が我々の施設を手本として、本病態の治療を行いつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hisashi Yoshimoto, Kuniyoshi Abumi, Manabu Ito, Masahiro Kanayama, Kiyoshi Kaneda: "Kinematic evaluation of atlantoaxial joint instability : an in vivo cineradiographic investigation"Journal of Spinal Disorders. 14:1. 21-31 (2001)
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[Publications] Manabu Ito, Kuniyoshi Abumi, Yasuhiro Shono, Yoshihisa Kotani, Akio Minami, Kiyoshi Kaneda: "Complications Related to Hydroxyapatite Vertebral Spacer in Anterior Cervical Spine Surgery"Spine. 27:4. 428-431 (2002)
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[Publications] 伊東 学, 鐙 邦芳, 三浪 明男: "破壊性脊椎関節症"脊椎脊髄. 14(6). 595-598 (2001)
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[Publications] 須田 浩太, 伊東 学, 鐙 邦芳, 庄野 泰弘, 小谷 善久, 藤谷 正紀: "腰椎椎間板ヘルニア再発例に対する手術治療"骨・関節・靭帯. 14(3). 265-269 (2001)
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[Publications] 小谷 善久, 鐙 邦芳, 庄野 泰弘, 伊東 学, 金田 清志, 三浪 明男: "再手術あるいは動じ脊柱再建を要した脊髄腫瘍の手術成績"臨床整形外科. 36(4). 393-401 (2001)
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[Publications] 伊東 学: "骨粗鬆症性椎体圧潰に対する手術-前方除圧固定術-"脊椎脊髄. 15(2). 89-96 (2002)