2000 Fiscal Year Annual Research Report
ヒアルロン酸合成酵素遺伝子導入による変形性膝関節症抑制に関する研究
Project/Area Number |
11671421
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Research Institution | The Univ. of Tokyo |
Principal Investigator |
池田 敏之 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80322759)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 栄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (50282661)
平岡 久忠 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (10262007)
福田 明 東京大学, 医学部・附属病院, 医員 (90302695)
中村 耕三 東京大学, 医学部・附属病院, 教授 (60126133)
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Keywords | ヒアルロン酸 / ヒアルロン酸合成酵素タイプン / 変形性関節症 / 関節軟骨 / アデノウィルスベクター / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
1、長寿医療研究センターの協力によりヒアルロン酸合成酵素(HAS)-2遺伝子を組み込んだアデノウィルスベクター(HASウィルス)提供を受け、関節内投与により関節滑膜細胞のヒアルロン酸(HA)合成を促進することで変形性関節症の進行予防を目的とした実験を行った。ACL切除によるウサギOAモデルにHASウィルス投与後6週で関節液内ヒアルロン酸濃度、関節軟骨の肉眼所見・組織学的所見を調査した。その結果は、HAS2アデノウィルス投与群(以下HAS群)の関節液中HA濃度はwild typeアデノウィルスを注入した群(以下wild群)やcarrier mediumのみを注入した群(以下carrier群)と比較して特に有意差はみられなかった。また、肉眼的、組織学的検討においても各群間に差はなかった。そこで、ウサギ正常膝関節内にHASウィルスを投与する事でHA合成がin vivoで促進されるのかを確認する実験に立ち返りおこなった。ウサギ正常膝関節内にHASウィルスを投与し、投与後1週では関節液中のHA濃度はHAS群ではwild群に比べてやや高い傾向はあったが、なにも投与しないcontrol群と比較するとHA濃度は低い傾向がみられた。以上から、HAS遺伝子導入滑膜細胞はnegative feedback機構が働くことやウィルス濃度が不十分で遺伝子導入の十分な効果が発現されず、関節液中HA濃度が上がらないことが考察された。 2、作用細胞を軟骨細胞に変更した。軟骨組織中においてもHAは重要な役割を果たしており、軟骨細胞自身がそのHAを合成する事はすでに報告されている。培養ウシ胎児関節軟骨細胞にHASウィルスを感染させて経時的に培養液を回収、HA濃度を測定した。その結果、感染後1週間にわたりウィルス感染濃度依存的に培養液中のHA濃度は高い傾向を示した。すなわち、HASウィルスは関節軟骨細胞においてはHA合成促進作用があることが確認された。この作用を利用し、関節軟骨再生や変形性関節症の進展防止に役立つ治療法を確立できる可能性がある。
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