2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671455
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢部 啓夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70119030)
|
Keywords | Shark cartilage(サメ軟骨) / Urokinase(ウロキナーゼ) / Anti-tumor(抗腫瘍) |
Research Abstract |
以前より、Langerをはじめとする科学者によりサメ軟骨における抗腫瘍活性の存在が示唆されてきたが、その詳細は未だ不明のままである。われわれは、ウシ軟骨より抽出した抗腫瘍画分にウロキナーゼインヒビター活性が存在することを示した(Biomed.Res.18 1997)。ウロキナーゼは腫瘍細胞表面のウロキナーゼレセプターと結合し、細胞外マトリックスの分解に関わる酵素の1つとして考えられており、そのインヒビターは抗腫瘍物質としての可能性を有している。しかし、出発材料としてのウシ軟骨の入手には困難があるため、軟骨魚類であるサメに着目し、これを出発物質として、軟骨由来ウロキナーゼインヒビター(CD-PAI)の同定、その1次構造の決定、抗腫瘍活性の検討を目的として実験を開始した。方法はサメ軟骨に対し10倍量の2Mグアニジウム塩酸を含むTris-HCIにより抽出し、16000xgにて遠心後、上清を限外濾過による10万Daltonでの分子量カットを行ったものをSephadex-G75 superfine分子篩クロマトグラフィーにより分画した。これらをStephenらの方法(immuno-capture assay)を用いヒトウロキナーゼに対するインヒビター活性を測定した。その活性はトータルボリューム付近現れ、見かけ上の分子量は非常に小さいものであった。Sephadex樹脂に対する親和性が高いため、流出が遅れた可能性があると考え、2Mグアニジウム塩酸を含むTris-HCIにより、展開したところ、複数のピークが前方に出現した。現在、これらのピークについて、インヒビター活性の測定ならびに抗腫瘍活性についてB16メラノーマを用いたin vivoならびにin vitroの系において検討するため、脱塩を行っているところであるが、脱塩カラムに対する吸着の可能性が非常に高いため、種々の方法について検討中である。
|