2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671455
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
矢部 啓夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70119030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森岡 秀夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (10230096)
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Keywords | Cartilage / Plasminogen / Shark / Plasminogen activator / Angiongeesis / Plasminogen activator inhibitor / Anti-tumor activity / Anti-angiogenesis activity |
Research Abstract |
サメ軟骨由来plasminogen activator inhibitor(CD-PAI)の精製を目的に現在まで、実験を継続してきており、平成11年度にはサメ軟骨組織を材料として1Mグアニジウム塩酸およびgel chromatographyおよびaffinity chromatographyにより、上記物質を部分精製することに成功した。平成12年度には、この部分精製品を材料としポリクローナル抗体を作製することを試みたが、ウサギで免疫して得られた抗体の特異性は十分に高いとはいえず、抗体を用いたchromatographyによる、蛋白の精製率はやや低く、完全に精製するためには他の蛋白のcontaminationを除去する必要が生じた。そこで本年度は、この部分精製された蛋白のin vivoの生理活性の検討と、本蛋白のアミノ酸配列の解析を行うために、HPLC chromatographyによる更なる精製を並行して行った。まず、生理活性解明のための実験系はB16 melanomaとC57BLマウスによるbioassayとCAM法による血管新生阻害活性の測定系を使用した。この結果、部分精製されたCD-PAIはin vivoで、マウスに移植されたB16 melanomaの増殖を、有意に抑制しさらにCAM法で、B16 melanomaによって誘導される血管新生を阻害することができた。この実験結果から、CD-PAIはin vivoで抗腫瘍活性を示し、このメカニズムは血管新生の阻害による可能性が示唆された。次に、CD-PAIの血管内皮細胞および腫瘍細胞に対するin vivoでの影響を検討した。本蛋白は、血管内皮細胞(HUVEC)の増殖には影響を与えなかったが、HUVECの遊走を阻害した。また、腫瘍細胞に関しても同様の結果が得られた。以上より、サメ軟骨由来CD-PAIは腫瘍細胞や血管内皮細胞の増殖には影響を与えないが、浸潤や遊走を阻害し、その結果として腫瘍の増殖を抑制することが明らかとなった。また、CD-PAIのアミノ酸配列の解析は今なお進行中である。理由は、N-末端がブロックされており、解析に時間を要しているためである。
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