2000 Fiscal Year Annual Research Report
AP-1活性からみた慢性関節リウマチの骨・軟骨破壊機構の解明と治療法に関する検討
Project/Area Number |
11671458
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Research Institution | JIKEI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
曽雌 茂 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90197012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 真希 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00266701)
藤井 克之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10112856)
辻 美智子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (80207365)
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Keywords | AP-1 / 慢性関節リウマチ / 骨・軟骨破壊 |
Research Abstract |
本研究では、c-fos遺伝子の作用部位での競合的阻害を目的としたAP-1ヌクレオチドを、RAの病態モデルであるコラーゲン関節炎(CIA)に投与し、関節破壊に与える影響について検討した。 昨年度報告したように、AP-1投与群の25ならびに100μg投与群では関節炎の発症と伸展が抑制された。本年度はこうした作用のメカニズムをより詳細に検討するため、肉眼的な関節炎が発症する以前の組織学変化を観察した。対照群では、未だ関節の構築が保たれているものの、一部の滑膜組織には表層細胞の立方化と同細胞でのc-fos発現が観察された。さらに、こうした滑膜の変化の有無に拘わらず、軟骨細胞ならびに軟骨下には単核あるいは多核のc-fos陽性細胞が観察され、これらの細胞のうち多核の細胞のほとんどがTRAP陽性、カルシトニンレセプター抗体陽性を示したが、RANKによる染色は極めて弱かった。軟骨細胞にもc-fos発現が観察された。同時期のAP-1投与群では、滑膜にわずかなc-fosの出現を認める関節が存在したものの。表層細胞には立方化は認められなかった。また、関節軟骨細胞のc-fos陽性細胞数は対照群に比べ明らかな差はなかった。しかし、対照群の軟骨細胞においては、c-fosの発現に伴ってMMP-,MMP-3の強い発現とTIMP-1の発現の低下が認められたのに対して、AP-1投与群では対照群に比べて、MMPの発現は軽度でありTIMP-1の発現が明瞭であった。軟骨下骨髄へのc-fos陽性細胞の集積は対照群に比べると有意に少なかった。 AP-1活性亢進の抑制が、RA関節の骨・軟骨破壊の発症と進展を抑制することが見い出された。こうした知見は、RAの発症のメカニズムの解明のみならず、罹患関節の破壊の抑制効果を有する新たな治療薬の開発に有用と考える。
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