1999 Fiscal Year Annual Research Report
骨肉腫肺転移を規定する機能的CD44-アンチセンスCD44による治療
Project/Area Number |
11671467
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
成田 修吾 久留米大学, 医学部, 助手 (10237604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
善明 美千久 久留米大学, 医学部, 助手 (10289465)
平岡 弘二 久留米大学, 医学部, 助手 (10268914)
小宮 節郎 鹿児島大学, 医学部, 教授 (30178371)
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Keywords | 骨肉腫 / CD44 / ヒアルロン酸 |
Research Abstract |
CD44は細胞膜に発現する接着分子でありヒアルロン酸、コラーゲン、フィブロネクチンなどをそのリガンドとしている。このCD44の腫瘍細胞における発現は血管内皮細胞をそのリガンドにしうることから転移能を左右すると思われる。しかしながら、CD44に数多くのvariantの存在が報告されることからもその研究結果に一致した見解を見ていない。 今回、10例の骨肉腫細胞株を用い骨肉腫におけるCD44の発現をフローサイトメトリーにて確認し、さらに異なるexonを含むprimerを用いCD44のvariantの存在をRT-PCRにて調べた。次にリガンドであるヒアルロン酸による骨肉腫細胞の増殖能・接着能・遊走能への影響を検討した。 骨肉腫細胞株10例中8例においてCD44の発現が確認され、2種類のvariantの存在が認められた。また、リガンドであるヒアルロン酸の分子量の違いによるCD44の発現量を確認したところ分子量30万、濃度1%において、発現量のピークに低下が認められた。 ヒアルロン酸による骨肉腫細胞の増殖能への影響においては、各種濃度における増殖能の変化は見られなかった。一方、骨肉腫細胞の接着能においてはヒアルロン酸添加にて接着能の増強が認められ、また、細胞株間で差が認められた。次に腫瘍細胞の遊走能に関してはpore size8μmのトランスウエル・チャンバーを用いて検討したところ5%,0.01%のヒアルロン酸濃度で遊走能の亢進が確認できた。 以上の結果より骨肉腫細胞の転移機序においては、CD44の発現が関与しており、生体内に存在するヒアルロン酸により影響を受けることが示唆された。今後、CD44のvariantによる作用の違いを探求していく必要があると思われる。
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