2000 Fiscal Year Annual Research Report
ノシセプチン受容体と脊髄内コリン作動性鎮痛系の連関
Project/Area Number |
11671472
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原澤 克已 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30271662)
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Keywords | ノシセプチン / 脊髄 / 延髄 / オピオイド / in vitro |
Research Abstract |
昨年度のノシセプチンの研究ではノシセプチンが新生ラットの脊髄標本で侵害受容反射電位を抑制しさらにこの抑制はナロキソンで拮抗されないことを解明したが、今年度はさらに研究を発展させて脊髄でのアセチルコリン受容体との相互作用の有無について研究を進めるとともにラット遊離延髄-脊髄標本を用いて延髄呼吸中枢へのノシセプチンの作用を解明することを研究目標とした。すなわち、新生ラット遊離延髄-脊髄標本を作成して人工脳脊髄液(27.5℃、pH7.4)で標本を灌流し、ノシセプチン(0 nM,10 nM,30 nM,100 nM,1 μM)を灌流液に加え投与した。各標本においては単一濃度のノシセプチンで1回だけ灌流した後、第4頚神経前根から測定される電位を呼吸活動電位として記録した。結果、ノシセプチンは濃度依存性に呼吸回数を減少させた。このノシセプチンの呼吸回数減少作用はオピオイド受容体拮抗薬ナロキソンで拮抗されなかった。一方、アデニールシクラーゼを刺激する事により細胞内cAMP濃度を上昇させるフォシコリンは、ノシセプチンの呼吸回数減少作用を拮抗した。延髄リズム形成呼吸中枢に対してもノシセプチンは従来から知られているμ,∂,κオピオイド受容体以外の受容体(ノシセプチン受容体の可能性)を介して機能を抑制する事が示された。また、本研究結果はノシセプチンのこの作用は、アデニールシクラーゼの抑制を介することを示唆している。
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