2001 Fiscal Year Annual Research Report
低体温療法中の脳オートレギュレーションとその修飾因子
Project/Area Number |
11671483
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
遠藤 裕 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90168831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一範 新潟大学, 医学部・附属病院, 教授 (70126415)
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Keywords | 軽度脳低体温 / 脳虚血 / 静定脳自動調節脳 / ラット |
Research Abstract |
平成11年〜12年度の研究概要 実験モデル:Spraugue-Dawley系ラットを機械的人工呼吸とし、体温(直腸温・脳温)、心電図、脳波、動脈圧を測定、同時に左頭頂部の小孔より挿入したlazer Doppler flowmetryのプローベにより脳局所血流を測定した。脳自動調節能(Cerebral Autoregulation)は脱血およびフェニレフリン投与にて平均血圧を変動させた時の局所脳血流の変化から評価した。 結果:(1)麻酔薬の影響:PaC02=38〜41mmHgに維持、脳波上burst-suppressionが認められる麻酔深度のイソフルレン濃度(約2%)では、血圧低下が著しく、ノルアドレナリンの持続投与が必要とした。この濃度のイソフルレンでは脳自動調節能は完全に消失、局所脳血流は血圧に依存して変化した。一方、フェンタニルとミダゾラム鎮静下では平均血圧70〜160mmHgに脳自動調節能の作動域を認めた。 (2)PaC02の影響:フェンタニルとミダゾラム鎮静下、PaC02>50mmHgでは脳自動調節能は完全に消失、局所脳血流は血圧に依存して変化した。一方、PaC02<30mmHgでは脳自動調節能の作動域は平均血圧50〜180mmHgに拡大、自動調節能の亢進が示唆された。(3)低体温の影響:33℃の脳温、PaCO2=38〜41mmHg(α-stat control)では、脳自動調節能の作動域が平均血圧90〜140mmHgと狭小化を認め、脳自動調節能の抑制傾向が示唆された。 平成13年度: 前2年間の経過から、脳障害のないラットにおいて、正常体温、フェンタニルとミダゾラム鎮静下、正常炭酸ガス分圧下では脳自動調節能の抑制が軽微であり、この状態で脳温を33℃に低下させると脳自動調節能が抑制されることが示唆された。そこで、実際に病的脳障害を有するラットにおいて脳自動調節能の評価を試みた。(1)脳虚血後ラットモデルの作成:フェンタニルとミダゾラムにて鎮静させ、脱血により平均血圧を20mmHgまでに低下、この状態を約15分間維持(心停止発生時は直ちに返血)、脳虚血ラットを作成した。その後2時間血圧を安定させた後に、フェニレフリン持続注入および脱血にて平均血圧を変動させ、脳自動調節能を評価した。(2)結果:脳虚血後ラット10例を作成、15分間の平均血圧20mmHg負荷中に心停止となるラットはなかったが、2時間後の脳自動調節能の評価時に心停止となるものが8例あり、自動調節能の評価が出来なかった。平成14年度は脳虚血負荷時間を10分程度にして再検する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Endoh H: "Naloxone improves arterial blood pressure and hypoxic ventilatory depression, but not survival, of rats during acute hypoxia"Criti Care Med. 29(3). 623-627 (2001)
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[Publications] Endoh H: "Continuous intra-jugular venous blood-gas monitoring with the Paratrend 7 during hypothermic cardiopulmonary bypass"British J Anaesth. 87(2). 223-228 (2001)
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[Publications] Endoh H: "The influence or nitroglycerin and prostaglandin E1 on cerebral autoregulation in propofol-and fentanyl-anaesthetized adult patients"Anaesthesia. 56(10). 947-952 (2001)
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[Publications] Endoh H: "The influence of nicardipine-,nitroglycerin-, and prostaglandin E1-induced hupotension on ceebral pressure autoregulation in adult patents during propofol-fentanyl anesthesia"Anaesth & Analg. 94(1). 169-173 (2002)
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[Publications] 遠藤 裕: "セボフルレン,イソフルレン麻酔中の脳自動調節能の評価一過性充血反応を用いた検討"麻酔. 50(12). 1316-1321 (2001)