1999 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛におけるレニン・アンジオテンシン系関与に対する分子生物学的機序解明
Project/Area Number |
11671492
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 智政 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50161568)
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Keywords | ニューロパシックペイン / CRPS / レニン・アンジオテンシン系 / アンジオテンシノーゲン / アンジオテンシン変換酵素遺伝子多型 / Bennetモデル / 自然高血圧発症ラット |
Research Abstract |
臨床研究として、現在までに行ってきたACE遺伝子多型解析に加えてAGT遺伝子多型解析を同時におこないニューロパシックペイン患者における遺伝的多様性を検討した。Complex regional Pain Syndrome(CRPS)患者11名(CRPS1型4名、2型7名)から静脈血を採取し、得られたPCR産物からエクソン2に存在するM235T多型(235番のコドンがメチオニン(M)からスレオニン(T)に変化する1塩基置換)とT174M多型について検討した。この結果M235T多型ではTT型は8名、TM型は2名、MM型が1名であり、スレオニン(T)のAlleleの出現頻度は82%であった。またT174M多型ではTT型が8名、TM型が3名であった。AGT遺伝子多型におけるスレオニンの出現頻度は日本人では約8割とされており、現時点ではCRPS患者の分布とほぼ同一であった。動物実験として末梢神経損傷による神経因性疼痛モデル(Bennettモデル)を作成し、熱刺激による痛み知覚の閾値を検討した。雄性SHR及びSD雄性ラット各7匹を用いて、各々右坐骨神経を結紮した。モデル作成前、およびモデル作成4、7、14日後に疼痛側と非疼痛側の両下肢に熱刺激を加えて、両下肢足底の熱刺激に対する逃避時間を測定した。1週目以降両群とも有意に逃避時間が短縮した。非疼痛側では、両群で疼痛閾値は変化しなかった。高血圧が生じるSHRでは、神経因性疼痛モデルを作成した際に疼痛閾値が変化することが予想された。今回の実験ではSHRとSDラットでは神経因性疼痛モデル作成後の熱刺激に対する応答には差がみられなかった。末梢神経損傷後の疼痛過敏発現に対しては、SHRの血圧上昇を来たす遺伝的背景は影響しないことが推測された。
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