2000 Fiscal Year Annual Research Report
神経障害性疼痛におけるレニン・アンジオテンシン系関与に対する分子生物学的機序解明
Project/Area Number |
11671492
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 智政 名古屋大学, 医学部, 助教授 (50161568)
|
Keywords | ニューロパシックペイン / CRPS / レニン・アンジオテンシン系 / アンジオテンシノーゲン / アンジオテンシン変換酵素遺伝子多型 / Bennefモデル / 自然高血圧発症ラット / アンチセンスODN |
Research Abstract |
臨床研究として、現在までに行ってきたACE遺伝子多型解析に加えてAGT遺伝子多型解析を同時におこないニューロパシックペイン患者における遺伝的多様性を検討中である。Complex regional Pain Syndrome(CRPS)患者から静脈血を採取し、得られたPCR産物からエクソン2に存在するM235T多型(235番のコドンがメチオニン(M)からスレオニン(T)に変化する1塩基置換)とT174M多型について検討している。この結果AGT遺伝子多型におけるスレオニンの出現頻度は日本人では約8割とされており、現時点ではCRPS患者の分布とほぼ同一である結果を得た。基礎研究としてレニン・アンジオテンシン系が亢進しているとされる自然高血圧発症ラット(SHR)を用いて、レニン・アンジオテンシン系のnociceptionへの影響を検討した。くも膜下腔にカテーテルを留置し、ナロキソンまたはplaceboを投与し機械刺激による疼痛閾値を測定した。この結果ナロキソン投与群では有意に疼痛閾値が低下した。さらにアンジオテンシンII I型受容体のmRNAの産生を阻止するために、雄性SHRを対象に脳定位手術により視床下部傍室核に慢性埋め込みしたカニューレからアンチセンスオリゴDNA50μgを計3回投与した。血圧低下後右坐骨神経不全損傷により神経因性疼痛モデルを作成した。この結果SHRの中枢内ODN投与は血圧低下を生じるが、神経因性疼痛モデルでのnociceptionには影響しなかった。これらの結果を総合すると末梢神経損傷後の疼痛過敏発現に対しては、SHRの血圧上昇を来たす遺伝的背景は影響しないことが推測された。
|
-
[Publications] Tomomasa Kimura: "Angiotensin-converting enzyme gene polymorphism in patients with neuropathic pain."Proceedings of the 9th World Congress on Pain. 16. 471-476 (2000)
-
[Publications] 細田蓮子: "セロトニン受容体(5-HTR_<2A>)遺伝子多型T102Cと慢性疼痛疾患の関連にるいて."平成11年度セロトニン(5-HT_2)研究会報告. 32-33 (2000)
-
[Publications] Renko Hosoda: "Association Between Chronic Pain and T102C polymorphism of the 5-HTR_<2A> Gene"Proceedings of Worldwide pain Conference. 43-47 (2000)
-
[Publications] 鬼頭和裕,近藤博子,木村智政,島田康弘: "自然高血圧発症ラットにおける髄腔内ナロキソンの効果"日本ペインクリニック学会誌. 7・3. 99-99 (2000)
-
[Publications] 木村智政,細田蓮子,荒川陽子,佐藤祐子,島田康弘: "CRPS患者におけるアンジオテンシノーゲン遺伝子多型解析"Journal of Anesthesia. 14suppl. 73-73 (2000)
-
[Publications] 冨田彰,木村智政,鬼頭和裕,小栗幸一,細田蓮子,島田康弘: "自然高血圧発症ラットにおける神経因性疼痛モデルの熱知覚閾値の検討"Journal of Anesthesia. 14suppl. 50-50 (2000)