2001 Fiscal Year Annual Research Report
虚血性神経障害時に活性化されるプロテインカイネースCサブタイプの同定とその制御
Project/Area Number |
11671508
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
轟木 幸子 長崎大学, 医学部, 助手 (50039541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸岡 浩明 長崎大学, 医学部, 助教授 (70230175)
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Keywords | 低酸素 / プロテインカイネースC / トランスロケーション / ミトコンドリア / PC12細胞 / KCN |
Research Abstract |
背景:PKCは虚血により活性化され、グルタメイトやアスパルテイトの遊離及び虚血性神経細胞障害に関与している可能性が大きい。虚血性障害におけるPKCサブタイプの発現が各臓器によって異なることが示されている。 目的:低酸素による細胞障害性と、PKC活性およびPKCサブタイプの細胞内分布変化との関連を明らかにするために、ラット副腎髄質由来PC12細胞を用いて検討した。 方法:PC12細胞に存在しているPKCサブタイプ(α、γ、δ、ε、ζ、λ)で、低酸素が各サブタイプの細胞内動態に及ぼす時間的・空間的影響を調べた。 1.PC12細胞を10%馬血清と5%牛胎児血清を含むRPMI1640で培養し、低酸素(O_2 1%、CO_2 5%とN_2で調整、37℃)を一定期間保った。 2.低酸素による細胞障害性は、培養液中の乳酸脱水素酵素(LDH)を0時間、24時間、48時間、72時間で測定した。さらにヘモサイトメーター用いて生細胞数を計数した。 3.細胞を核分画(F1)、ミトコンドリア分画(F2)、細胞膜分画(F3)、細胞質分画(F4)の各分画に分けPKCを測定した。細胞分画法を用いてF1からF4までの細胞を分離し、それぞれの分画におけるPKCサブタイプの蛋白発現をイムノブロット法にて測定した。 結果:酸素濃度を20%から1%に低下させると、細胞液のLDHが24、48、72時間でそれぞれ対照の20、40、80%まで上昇した。生細胞数は、対照と比べ12、24、48、72時間でそれぞれ90、80、50、5%と減少した。 低酸素刺激に対し、F1からF4の各分画でのPKCサブタイプの蛋白量の変化は、PKC_γがF1とF3で60分から2時間まで上昇していた。 結論:低酸素障害に対して、PC12細胞においてカルシウム依存性のアイソザイムであるPKC_γが重要な役割を持つことが示唆された。
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