2000 Fiscal Year Annual Research Report
アンチセンス法による接着分子発現の抑制とその臨床応用
Project/Area Number |
11671522
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
新見 能成 帝京大学, 医学部, 助教授 (90198416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 芳紀 帝京大学, 医学部, 講師 (40232285)
森田 茂穂 帝京大学, 医学部, 教授 (60143476)
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Keywords | シェアーストレス / 体外循環 / 白血球 / IL-8 / Mac-1 / VCAM-1 / ELAM-1 |
Research Abstract |
体外循環後の臓器障害や動脈硬化の進行においては、白血球の活性化と接着分子の発現が重要な役割を果たしている。われわれは、これまで接着分子発現の調節機構について検討してきた。本研究では、シェアーストレスと温度が、末梢血単核球と内皮細胞における接着分子VCAM-1とサイトカインTNF-α、IL-8、IL-10の発現にどのような影響を与えるかを調べることを目標とした。心臓外科手術で用いる人工心肺の模擬回路を用いて流量と温度の影響を調べた結果、シェアーストレス単独の刺激により末梢血単核球でIL-8mRNAの発現が誘導されることが示された。さらに、このIL-8mRNAの産生は、シェアーストレスの大小によって異なる発現強度を示すことが観察された。一方、37℃と25℃の温度の差は、末梢血単核球のIL-8産生に影響を与えなかった。シェアーストレス単独の刺激では内皮細胞によるIL-8mRNAおよびVCAM-1の発現は認められず、末梢血単核球におけるTNF-〓、IL-10の発現も認められなかった。本研究の結果より、内皮細胞側よりも末梢血単核球によって産生されたIL-8が白血球の接着を促進しているものと考えられる。また、シェアーストレスの変化が末梢血単核球のIL-8産生を修飾して白血球の接着を促進させる可能性が示唆された。本研究の結果は、再灌流障害の予防、軽減に血液中の白血球を標的としたインターベンションを行うことの妥当性を支持するものである。 本研究で使用した模擬回路では、シェアーストレスの厳密な調節が困難であった。今後、平行平板型流れ負荷装置を用いてシェアーストレスを厳密に調節したうえでIL-8が内皮細胞にどのような変化を及ぼすかを検討する予定である。さらに、この機序にNF-〓Bがどのように関わっているかについても検討する予定である。
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[Publications] Ichinose F: "Platelet hyperactivity in young infants during cardiopulmonary bypass."Anesthesia & Analgesia. 88. 258-262 (1999)
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[Publications] Saegusa H: "Artificial graft replacement in creases the speed of the pulse wave velocity along the aorta."Masaui. 48・1. 32-36 (1999)
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[Publications] Nakata Y: "Preoperative pulse wave velocity fails to predict hemodynamic responses to anesthesia and to surgical stimulation."J Clin Anes. 11・4. 285-289 (1999)
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[Publications] Niimi Y: "The effects of heparin coating of oxygenator fibers on platelet adhesion and protein adsorption.."Anesthesia & Analgesia. 89・3. 573-579 (1999)