1999 Fiscal Year Annual Research Report
周術期における副交感神経活動が冠血管攣縮発生と血管内皮機能に与える影響
Project/Area Number |
11671530
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
渡邉 誠之 久留米大学, 医学部, 講師 (10201196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 龍彦 久留米大学, 医学部, 教授 (50040605)
金子 真也 久留米大学, 医学部, 助手 (00224600)
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Keywords | 心筋虚血 / 冠攣縮 / 副交感神経 / 冠循環 / エンドセリン / 血管内皮機能 |
Research Abstract |
動物実験【目的】冠血管壁緊張度がAchに対する冠血管反応に与える影響を調べた。【方法】Achに対する冠血流反応をET-1投与前後に観察した。冠血管壁緊張度の調節冠動脈バイパス血流量が投与前の30%減になるようにET-1をバイパス回路に直接投与した。Ach(0.01、0.03、0.1、0.3、1.0、3.0μg)をバイパス回路にボーラス投与(投与量は総て0.1ml)した。最大冠拡張状態を確認するためにAD(アデノシン、100μg)をバイパス回路にボーラス投与した。【結果】冠動脈細血管緊張度の増加の無い状態(ET-1投与前)ではAch投与量依存性に冠血流増加反応が見られ(p<0.01)、血流回復過程においても冠血流量は投与前値より減少しなかった。冠動脈細血管緊張度の増加した状態(ET-1投与後)ではAchによる最大冠血流増加反応をすべての投与量において抑制した(p<0.01)。血流回復過程において冠血流量は一過性にAch投与前値以下に減少した(p<0.01)。この減少はADでは起こらなかった。【考察】ET-1による冠動脈細血管収縮作用はAchによる遅発性の血管収縮を増強し冠血流減少を引き起こした。Ach負荷による冠血流の制限には冠動脈細血管壁の緊張度が増加していることが必要である事が示唆される。 臨床研究【目的】虚血性心疾患患者を対象に副交感神経過緊張が冠血管攣縮による心筋虚血の発生に対する関与を調べる。【方法】冠動脈バイパス患者を対象とし、副交感神経緊張群(エドロフォニウムを0.25mg/kgを投与、n=15)とコントロール群(n=14)に無作為に分けた。心血行動態(心電図II誘導、胸部V5誘導、血圧、肺動脈圧、中心静脈圧)をA/D変換し計測記録した。【結果】副交感神経刺激により心拍数は投与前心拍数依存性に低下した(p<0.001)。PP時間(約27%)およびPQ時間(約22%)は延長を認めたがQRS時間は変化しなかった。II、V5誘導においてST偏移は出現しなかった。圧心拍比(PRQ)は上昇した。冠還流圧は変化しなかった。【考察】虚血性心疾患患者において副交感神経の一過性の刺激では冠血管攣縮を誘発する可能性は低い。むしろ心筋酸素需要消費バランスの改善を示した。今後、心室壁運動をコントラスト剤をもちいて超音波検査で観察する。
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