2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11671534
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
深堀 能立 群馬大学, 医学部, 講師 (90199167)
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Keywords | 前立腺癌 / 針生検 / 再燃 / 予測 / 増殖因子 / FGF / FGFR / リアルタイム定量的PCR |
Research Abstract |
今年度は、前立腺針生検標本において間質の割合が線維芽細胞増殖因子受容体の発現比FGFR2IIIb/IIIc ratioに与える影響について、その画像解析法も含めて検討した。昨年度開発し確立した生検標本からのRNA採取法を利用し、同一標本からcDNAとHE染色組織プレパラートを得た。cDNAは、昨年度と同様にABI PRISM7700を用いてreal-time quantitative PCRを行い、FGFR2IIIb、FGFR2IIIcの発現量を定量した。FGFR2IIIb/FGFR2IIIcを計算し、以下の画像処理結果と比較した。 今年度は、コンピュータ関連の技術進歩により、プリンター解像度のめざましい向上があったので、当初予定していた免疫組織染色による画像解析を変更し、科研費で購入した顕微鏡画像取り込み装置からの画像を直接プリントアウトし、手動による細胞核数の計測で、上皮/間質比を計測した。この方法を用いると、細胞質の大きさによる影響が全くなく、ひとつひとつの細胞活動としての形質発現をより正確に把握できる。今回は、10症例の前立腺針生検標本プレパラートを用いて画像解析を行った。 標本は、400倍で取り込み、44-82分割してA4サイズでプリントした。すべての分画における上皮細胞核数、間質細胞核数を計測した。全細胞数、上皮細胞%、間質細胞%、上皮/間質比は、それぞれ17245±7731個、49±18%、51±18%、1.29±1.06(平均値±SD)であった。FGFR2IIIb/IIIc ratioは、1.8±3.6(平均値±SD)であり、上皮/間質比とFGFR2IIIb/IIIc ratioの回帰分析ではP=0.768(R2乗=0.011)となって、これら2者の間には全く相関は認められなかった。 今回の結果より、FGFR2IIIb/IIIc ratioは、上皮・間質の割合に関わらず、前立腺癌予後因子のひとつとして、そのままの値で検討可能であることが確かめられた。
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