2000 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病に伴う排尿障害の遺伝子治療に関する実験的研究
Project/Area Number |
11671541
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小松 和人 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (80291368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
紺谷 仁 北陸大学, 薬学部, 教授 (40102743)
高 栄哲 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (90283134)
横山 修 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (90242552)
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Keywords | アルツハイマー型痴呆 / 神経因性膀胱 / 過活動型膀胱 / アセチルコリン受容体 / オキソトレモリンM / ピレンゼピン |
Research Abstract |
イボテン酸をラット前脳基底核に注入し,アルツハイマー型痴呆に類似した実験モデルを作成した.このモデルラットの膀胱機能を測定したところ,排尿反射の亢進が認められた.このモデルを用いてアルツハイマー型痴呆による過活動型神経因性膀胱の発生機序の解明および薬物学的治療の可能性について検討した. 1)イボテン酸による前脳基底核破壊により,大脳皮質のコリンアセチルトランスフェラーゼ活性は約30%の低下が認められ,アセチルコリン作動性神経伝達の破壊が確認された. 2)前脳基底核破壊ラットの膀胱容量は偽手術ラットに比枝有意に減少した. 3)アセチルコリンレセプターのアゴニスト(M1およびM2)であるオキソトレモリンMの側脳室内累積投与を行った結果,偽手術郡では高容量で膀胱容量の減少が認められた.前脳基底核破壊ラットでは,低容量で膀胱容量の増大,高容量で減少が認められ二相性の変化が認められた. 4)膀胱容量を変化させない低容量のアセチルコリンレセプターアンタゴニスト(M1)であるピレンゼピンを前投与したラットにオキソトレモリンMを投与すると,前脳基底核破壊ラットでは膀胱容量の変化が認められなかった. 前脳基底核より大脳皮質に投射するアセチルコリン系神経は排尿反射中枢に対し抑制性に投射していると推測される.したがってアルツハイマー型痴呆における排尿反射亢進の機序として大脳皮質ムスカリン受容体を介する抑制性のニューロンが障害されたことにより排尿反射の亢進が生じたものと考えられ,中枢神経に作動するアセチルコリン作動薬は治療効果が期待できるものと考えられた.
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