1999 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷後の過活動膀胱に関する病態生理学的研究:カプサイシン感受性膀胱求心性神経の関与
Project/Area Number |
11671545
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
井川 靖彦 信州大学, 医学部, 助教授 (40159588)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 智哉 信州大学, 医学部, 助手 (30291272)
関 聡 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (60293502)
石塚 修 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (20184541)
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Keywords | 脊髄損傷 / 過活動膀胱 / カプサイシン / ベータ・アドレナリン受容体 / レジニフェラトキシン |
Research Abstract |
研究1)過活動膀胱および低コンプライアンス膀胱におけるベータ・アドレナリン受容体を介する膀胱排尿筋の弛緩機構の解明:膀胱拡大術を行う神経因性膀胱患者33名(過活動膀胱7名および低コンプライアンス膀胱26名)および正常膀胱機能で膀胱全摘除術を行う膀胱癌患者31名から手術時に膀胱体部平滑筋条片を採取し,マグヌス法にてβ1,β2,β3の各サブタイプに選択的な作動薬に対する弛緩反応を比較検討した.その結果,ヒト膀胱排尿筋は主にβ3受容体を介して弛緩し,その弛緩反応は正常機能群と神経因性膀胱群で有意な差はないことが判明した. 研究2)カプサイシン(CAP)およびレジニフェラトキシン(RTX)の膀胱内療法の臨床的検討:他の薬物療法に反応しない難治性の過活動膀胱を示す慢性脊髄損傷患者を対象に,CAP2×10^<-3>M,100ml(5名)またはRTX10^<-6>M,100ml(3名)を30分間膀胱内に注入する治療を行い,その有効性を経時的に検討した.CAP,RTXはともに過活動膀胱を抑制し,反射性尿失禁および自律神経過反射を改善させた.さらにこれらの抑制効果はCAP投与では2-3週後より出現し,RTX投与では数日後より出現し,いずれの投与群においても少なくとも3カ月間持続しうることがわかった.特に問題となる副作用を認めなかった. 研究3)脊髄損傷に伴う膀胱平滑筋内NGF濃度の変化と膀胱求心性神経細胞内のNGF受容体と各種知覚神経ペプチドの局在の変化に関する検討:脊髄損傷ラットを用いて現在検討中である.
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