2001 Fiscal Year Annual Research Report
尿路結石症に関する研究:特に蓚酸代謝に関与するペルオキシゾーム内酵素の役割
Project/Area Number |
11671548
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
柳川 眞 三重大学, 医学部, 助教授 (50174537)
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Keywords | 尿路結石症 / 蓚酸 / グリコール酸酸化酵素 / グリコール酸 / グリオキシル酸 |
Research Abstract |
人尿中に排泄されるOxalate(Ox、蓚酸)の主なものは、代謝性で約80〜90%と言われている。代謝性蓚酸生成関連酵素、特にGlycolate(Glyco)からのGlyoxylate(Glyox)生成及びGlyoxからOx生成の両方に関与するとされているGlycolate Oxidase(GO)の役割について調査した。GOは、Glyco存在下ではGlyoxの生成が主であり、Ox生成ははとんど認められなかった。今回、Oxの前駆物質であるGlycine、Glyco、GlyoxをWistar ratに投与し、尿中Oxに及ぼす影響を調べるとともに、前年度報告したGO阻害剤であるDL-2-Hydroxy-3-Butynoic Acid(HBA)を使用し、その影響について調査した。RatにHBA(10mg)を経口投与し、そのGO阻害率の経時的変化は、投与後2時間で最高約85%が阻害され、12時間、24時間では、それぞれ、80%、60%が阻害されていた。前駆物質投与における尿中Ox排泄量に及ぼす影響については、Glycine投与群ではコントロール群とほとんど変化なく、Glyco投与群、Glyox投与群において有意に尿中Ox排泄量の増加を認めた。特に、Glyox投与群では、Glyco投与群に比し、約3倍の尿中Oxの排泄量の増加を認めた。HBAのみ投与した群での肝内GO活性は約50%低下したが、コントロール群との尿中Ox排泄量の比較では、2群間にほとんど差は認められなかった。以上よりGOは、通常の代謝状態ではOx生成にはほとんど関与せず、前回の報告も踏まえ、やはり過剰なGlyco存在下においてのみGlyoxyへの代謝に主に関与し、GlyoxyからOxへの代謝にはほとんど関与しないことが示唆された。
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